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記事2021年4月3日 2540号 (1面) 
文部科学省 学術情報基盤実態調査結果公表
学内LAN回線速度、国・公私間で格差
図書館の資料費、私大では減少

 文部科学省は3月24日、「令和2年度学術情報基盤実態調査」の結果を公表した。この調査は、平成17年度から国公私立大学の大学図書館やコンピュータ・ネットワーク環境の現状を明らかにし、その改善・充実への基礎資料としているもの。調査対象は国立私立大学計801校(国立86、公立94、私立621)で、回答率は100%。図書館経費、図書数等は令和元年度末日、学内LAN等は令和2年5月1日時点の状況。 


 令和2年度調査結果によると、令和元年度の図書館資料費の合計は709億円で前年度までの減少傾向から、前年度比1億円(0・2%)の増加に転じた。これとは別に図書館運営費(人件費を含む)は744億円で前年度より3億円(0・4%)の減少。私立大学だけを見ると、図書館資料費は454億7100万円で前年比1億1900万円の減額。国立大学、公立大学は微増していた。


 私立大学の図書館運営費は前年度比4億2800万円の減額。


 図書館資料費の内訳を見ると、紙媒体の資料(図書と雑誌の合計)に係る経費は256億円で前年度より17億円(6・1%)減少していた。一方、電子媒体の資料(電子ジャーナルと電子書籍の合計)に係る経費は342億円で前年度比12億円(3・5%)増加していた。


 また、複数の学生が集まり、さまざまな情報資源を活用して議論を進めていく学習スタイルを可能にするアクティブ・ラーニング・スぺースの整備状況に関しては、令和2年5月1日現在、557大学(69・5%)で設置されており、その設置率は国立が群を抜いて高く98・8%、公立は50・0%と最も低く、私立は68・4%だった。アクティブ・ラーニング・スペースで提供されている学習・研究サポートは、図書館利用・文献検索サポートが最も多く41・9%、そのほか、分野別学習相談は18・5%、ITサポートは19・7%、ライティング・サポートは15・0%といった状況だった。


 一方、学内ネットワーク(学内LAN)の整備状況(令和2年5月1日)は、801大学のうち、通信速度が10Gbps以上の回線を整備している大学は272大学(34・0%)で、対外接続を行っている801大学のうち通信速度が10Gbps以上の回線を整備している大学は188大学(23・5%)。学内LANが10Gbps以上の大学の割合を国立私立大学別に見ると、国立は80・2%なのに対して、公立は29・8%、私立は28・1%で国立大学と公私立大学間には大きな格差が生じていた。情報リテラシー教育の状況に関しては、全大学では95・3%の大学(763校)で実施されていたが、38大学では実施されていなかった。38大学中33大学が私大だった。「情報セキュリティ」、「倫理・マナー」を取り上げている大学はそれぞれ528大学(69・2%)、554大学(72・6%)だった。


 クラウドの運用に関しては、情報システムをクラウド化(全部または一部を学内の情報センター等または学外の施設に集約・共有化し効率的に運用)している大学は732大学(91・4%)あり、前年度より2・1ポイント上昇していた。


 一方、クラウドを運用していない69大学(8・6%)の、クラウド化していない理由は、半数の大学は「費用面に課題」を挙げ、残りの半数は「セキュリティ面・信頼性に不安」を挙げた。

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