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記事2021年4月13日 2541号 (1面) 
留学生30万人計画骨子検証結果報告
目標を達成し、一定の成果
今後はアウトカムに注目し受け入れの質向上へ

 政府は2008年に2020年を目途に30万人の留学生受け入れを目指す「留学生30万人計画」を策定し、各種施策を進めてきた。2020年7月の成長戦略のフォローアップで「同計画の検証を行い、その結果を踏まえて今後の施策について検討を行い、2020年度中に結論を得る」とされたことから、関係省庁会議で検証作業を開始、今回、その報告書がまとまったもの。関係省庁とは文部科学、外務、法務、厚生労働、経済産業、国土交通の6省と観光庁。 


 今回の報告書では、わが国への外国人留学生数は2020年より1年早い2019年5月に31万人に達し目標値をクリアし、日本人学生と外国人留学生が共に学ぶ環境の充実が図られた。


 外国人留学生数は、2019年時点で、大学(学部・大学院)が14万2691人、短期大学が2844人、高等専門学校が506人、専修学校(専門課程)が7万8844人、準備教育課程が3518人、日本語教育機関が8万3811人。専攻分野は社会科学が全体の37・1%、次いで人文科学が21・6%、工学が17・6%などとなっている。 


 高等教育機関を卒業・修了後、わが国で就職する留学生も約9千人から約2万3千人に増加、国内就職者の割合も約27%から約37%に上昇するなど一定の成果を出している。しかしその一方で、高度人材の国内定着の促進や効果的・効率的な情報発信、日本語教育の充実、適切な在籍管理の徹底、技術流出防止対策の強化、また最近では新型コロナウイルス感染症の影響等が課題となっている。 


 そうした中で報告書は今後の施策の方向について、対面授業と遠隔・オンライン教育を効果的に組み合わせたハイブリッド型教育を踏まえた新たな工夫が必要で、「実留学」については引き続き推進の重要性を強調。


 また、留学生の入り口部分である受け入れ数を重視するこれまでの視点から、より出口(アウトカム)に着目して受け入れの質の向上を図る視点への転換が重要としている。アウトカムとは、わが国で質の高い教育を受けた外国人留学生の日本社会への定着度の向上や、帰国した外国人留学生についても親日派・知日派となってもらい、両国の友好関係の強化に繋がるといったこと。


 こうした外国人留学生の受け入れと合わせて、日本人学生の海外留学も促進して高等教育の国際流動性をさらに高めていく方針。


 図表は大学における海外拠点数の推移を示したもので、2009年2018年の間に、国立大学は海外拠点数を約2・5倍に拡大、私立大学の海外拠点数はその間に約2・2倍となっている。 


 文部科学省は2021年度も前年度と同額の予算(4億5千万円)を確保し、地域を定めて留学に関する情報収集・発信、優秀な留学生獲得に向けたリクルーティング活動促進、帰国留学生とのネットワークの構築、協力深化等を進めている。



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