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記事2021年3月23日 2539号 (1面) 
規制改革推進会議 大学、高校の規制緩和議論
私大連盟が規制・制度の見直し要請

 内閣府の規制改革推進会議(議長=小林喜光・株式会社三菱ケミカルホールディングス取締役会長)は2月17日、wEB会議方式で第6回雇用・人づくりワーキンググループ(座長=大槻奈那・マネックス証券株式会社執行役員、名古屋商科大学大学院教授)を開催した。議題は、「デジタル時代の人材育成に向けた大学・高校の設置・運営等にかかる規制・制度の見直し」で、日本私立大学連盟の曄道佳明・上智大学学長がデジタル時代の人材育成に向けた大学の設置、運営等にかかる規制・制度の見直しについて要望。また情報経営イノベーション専門職大学が専門職大学として規制緩和してほしい事項などを要望した。また同会議の夏野剛委員が高校に関して規制緩和が必要な事項について説明。文部科学省の森田正信大臣官房審議官(高等教育局担当)、塩見みづ枝大臣官房審議官(初等中等教育局担当)が要望された事項に関する検討状況等を報告した。


 この中で曄道氏は、まず、変化する国際社会に対応するため、今般のコロナウイルスによる社会の変化を契機ととらえ、ICTを活用したグローバル化やリカレント教育、大学間連携を進めるべきで、そのためには大学教育に対する国の財政支援とともに既存の規制を緩和し大学教育に自由度を持たせるという転換が重要と指摘。具体的には、(1)大学設置基準の見直し、(2)学生の定員管理、収容定員に対する専任教員数の見直し、(3)デジタル化時代の新たな教育・大学間連携、認証評価、国の財政支援を取り上げた。大学設置基準に関しては、遠隔授業等に係る単位上限、施設等の基準、卒業単位(124単位)の見直しを要望。このうち遠隔授業等に関して令和3年度まで上限単位数60単位としている方針を今後どうするのか早急に示し、より多様で個性的な学びを推進するため上限の緩和を求めた。施設等に関してはオンライン授業の普及・拡大する中で校舎等施設、校地の面積、運動場等の基準は撤廃すべきだとし、単位制については根本的見直しが必要と指摘。また学生の定員管理については学部単位の入学定員ではなく、大学単位の収容定員で管理する、あるいは単年度ではなく複数年度の平均値で管理するという現実的な方法に変更すべきだとした。収容定員に対する専任教員数の規定も見直すよう求めた。大学間連携に関しては、大学の国際化の中にオンラインによって相互の留学を実現する方法を加え、地方大学と首都圏の大学との新たな連携等を進めるよう要望。国の財政支援に関しては質の高いオンライン授業を実施する大学への戦略的支援、補助金の交付決定前から意欲を持っていち早く取り組んでいる大学への補助金交付等を要請した。 


 このほか情報経営イノベーション専門職大学からは研究実績のある実務家教員の確保の難しさと是正要望、必置の体育館の見直し要望、教員の個室・研究室の妥当性の再考、全ての授業を40人以下で行うことの見直し等が要請された。夏野委員はオンライン授業が普及する中で教室、図書室、保健室等の施設・設備要件の見直し、全ての生徒に一律に標準授業時間を適用することの見直し、優れた授業を複数の学校でシェアすることなどを要望した。こうした要望に文科省からは政府の教育再生実行会議の動向も見ながらスピード感を持って検討する方針が示され、初等中等教育に関してはオンラインを活用した教育を実施した場合、特例の授業として認められる措置を令和3年4月から実施することを目指して準備中だとし、高等教育に関しては中教審の審議を経て令和3年度中に一定の見直しをする見通しを明らかにした。

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