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記事2021年2月3日 2534号 (1面) 
35人学級の義務標準法、閣議決定
JST法改正法は成立
今後は国立大学法人法改正案等提出へ

 内閣が1月18日に国会に提出した令和2年度第3次補正予算案関連の「国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)法の一部を改正する法律案」が1月26日、衆議院の文部科学委員会(左藤章委員長)、同本会議で可決、その2日後の1月28日、参議院の文教科学委員会(太田房江委員長)、同本会議でそれぞれ可決、成立した。衆参両院の委員会で同文の附帯決議が採択されている。 


 附帯決議では、「助成対象となる大学の要件についても、世界レベルの研究基盤を構築する観点から、公平性を担保しつつ、地方大学も含め、適切な大学に助成を行い、多くの若手研究者に十分な資金を配分できるよう、有識者等の意見を踏まえた十分な検討の上で定めること」などを求めている。同法は、JSTにおいて、政府出資や財政融資等により調達した資金を運用するとともに、大学に対して国際的に卓越した研究環境の整備充実や、博士後期課程の学生の育成に関する助成を行うために必要な措置を行うもので、10兆円規模の大学ファンドを創設につなぐもの。令和2年度第3次補正予算では5千億円が計上されている(内閣府・文部科学省所管事業)。具体的にはJSTに政府出資、財政融資資金借り入れ、民間からの長期借入、JST債券の発行、大学からの資金拠出等で資金を調達。信託などの方法でより安全・効率的に運用、資金運用を担当する理事(文科大臣承認)を置くなどするほか、JSTの業務に助成業務、国立大学寄託金運用業務を追加する。 


 また2月2日には、小学校の学級編制の標準を現行の40人から35人に令和7年度までに計画的に引き下げることを定めた「公立義務教育小学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」(義務標準法)が閣議決定された。令和3年度予算案の関連法案で、施行は4月1日。 


 この法案は、子供たちの多様化の一層の進展等も踏まえて、全ての子供たちの可能性を引き出す教育へ転換し、個別最適な学びと協働的な学びを実現するため、一人一人の教育ニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする指導体制と、安心・安全な教育環境を整備するため公立の小学校の学級編成の標準を段階的に引き下げるもの。


 今国会では文部科学省は今後、「文化財保護法の一部を改正する法律案」、「国立大学法人法の一部を改正する法律案」、「著作権法の一部を改正する法律案」を提出する予定。文化財保護法改正案は、無形文化財および無形の民俗文化財の登録制度を創設、地方公共団体による文科大臣に対する文化財の登録の提案等を定めるもの。


 国立大学法人法一部改正案は、学長選考会議に学長の職務執行の状況の報告を求める権限を付与し、その名称を学長選考・監察会議(仮称)とすること、監事の体制強化等の措置を講ずるもの。


 著作権法の一部改正案は、図書館等が著作物等の公衆送信等を行うことができるようにするための規定を整備するとともに、放送同時配信等(仮称)における著作物等の利用を放送等における利用と同様に円滑化するための措置を講ずるもの。 


 このほか文科省では令和4年度を目途に教員の勤務実態調査を実施し、その結果を踏まえ教員の労働環境について給特法等の法制的な枠組みを含む検討を行うことにしている。

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