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記事2021年2月3日 2534号 (1面) 
令和の日本型学校教育の構築を目指して
中教審が答申まとめる
個別最適な学びと協働的な学び
ICTの活用が「鍵」

 中央教育審議会(会長=渡邉光一郎・第一生命ホールディング株式会社取締役会長)は1月26日、文部科学省内でWEB会議方式と対面方式により第10期で最後となる総会(第127回)を開き、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して〜全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現〜」と題する答申をまとめ、田野瀬太道・文部科学副大臣(当時)に提出した。平成31年4月17日の諮問に応えたもので、コロナ禍から初めてWEB会議を取り入れての、1年9カ月を要しての答申となった。


この日の総会は、前半は答申案の審議、後半は最後の総会ということで、2年間の審議の総括が行われた。具体的には生涯学習分科会、初等中等教育分科会、大学分科会の審議状況、来期に審議することが考えられる事項等が報告され、意見交換が行われた。


答申では、児童生徒の状況を総合的に把握して教師が指導を行うことで、子供たちの知・徳・体を一体で育む「日本型学校教育」は諸外国から高い評価を受けているものの、生徒の学習意欲の低下、加速度的に進展する情報化への対応の遅れ、教師の長時間勤務による疲弊や教員採用倍率の低下、教師不足の深刻化等の課題に直面していることから、必要な改革を躊躇なく進めることで、従来の日本型学校教育を発展させ、「令和の日本型学校教育」を実現しようとしている。2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿については、(1)個別最適な学びと(2)協働的な学び―に整理しており、個別最適な学びについては、「個に応じた指導」(指導の個別化と学習の個性化)を学習者の視点から整理した概念だとしている。


 指導の個別化は支援が必要な子供に、より重点的な指導を行うことなど効果的な指導を実現すること、特性や学習進度等に応じ指導方法・教材等の柔軟な提供・設定を行うこととしている。学習の個性化については子供の興味・関心等に応じ、一人一人に応じた学習活動や学習課題に取り組む機会を提供すること、としている。一方、協働的な学びとは、探究的な学習や体験活動等を通じ、子供同士の、あるいは多様な他者との協働、一人一人の良い点や可能性を生かすことで、異なる考えが組み合わさり、よりよい学びを生み出すことなど、としている。


 こうした教育を実現する上で「鍵」となるのがICTの活用で、ICTの活用はもとより、対面指導と遠隔・オンライン教育とのハイブリッド化による指導の充実が重要としている。具体的にはスタディ・ログなど教育データを活用した個別最適な学びの充実、デジタル教科書・教材の普及促進、児童生徒の特性に応じたきめ細かな対応、ICT人材の確保の重要性を指摘。 


 教師、教職員組織の在り方については、ICT活用指導力の向上方策、多様な知識・経験を有する外部人材による教職員組織の構成等、教員免許更新制の実質化、教師の人材確保の必要性等を挙げている。


 その上で、学校種別では、義務教育段階で小学校高学年からの教科担任制の導入(令和4年度を目途に)、小・中学校の両方の教員免許取得を促進すること、高校に関しては特色化・魅力化を促進するため各高校のスクール・ミッションの再定義、教育活動指針の策定(スクール・ポリシーの策定)、普通教育を主とする学科の弾力化・大綱化、産業界と一体となって地域産業界を支える革新的職業人材の育成、高校通信教育の質保証、STEAM教育等の教科横断的な学習の推進による資質・能力の育成等を進めていく方針。

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