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記事2021年12月23日 2565号 (1面) 
文科省、私立学校ガバナンス改革で対応方針
関係者の合意形成図る場を設置
特別背任罪・贈収賄罪の刑事罰、私学法に位置付けへ

 文部科学省は12月21日、「私立学校ガバナンス改革に関する対応方針」を策定・公表した。私立学校のガバナンスの在り方については、12月13日に同省の有識者会議が評議員会を最高監督・議決機関とすることなどを求めた報告書を末松信介大臣に提出したが、その改革案を巡っては私大関係者等からさまざまな問題点が指摘され、与党・自由民主党の議員からも懸念の声が上がっていることを受けて同省は、これまでの不祥事も踏まえた制度上の課題や再発防止策についての検討や、理事会の業務執行の円滑化、教育研究への影響、現場の実務的な現状等のほか、有識者会議の報告にはなかった特別背任罪・贈収賄罪の刑事罰の私立学校法体系での位置付け等の観点も踏まえて、改めて関係者の合意形成を図る場を設けて最終的な改革案を検討し、成案が得られ次第、広く国民から意見を聴取した上で、私立学校法改正案を国会に提出する意向。


 同省が公表した「私立学校ガバナンス改革に関する対応方針」では、まず、わが国の公教育を支える私立学校が社会の信頼を得て一層発展していくため、これまでの検討経緯を踏まえ、学校法人の沿革や多様性にも配慮しつつ、かつ、社会の要請にも応え得る、実効性ある改革を推進することが必要。また、これまでの不祥事事案への対応等を踏まえつつ、対応に当たっての制度上の課題やさらなる不祥事事案の再発防止策を検討した上で、適切な制度設計を行い改革案に反映していくことが必要、としている。


 こうした基本方針の下、検討の方向性に関しては、(1)理事会の業務執行の円滑化を図りつつ、業務執行のけん制・違法是正が自律的になされるよう、理事会・理事、監事、評議員会・評議員の在り方、相互の関係について見直しを行う、としている。


 特に、▷監事の選解任の在り方および会計監査人の設置、内部統制システムの整備については、法人の規模等も考慮しつつ、監査の実効性を高め、適正な学校運営を担保する観点から見直す。理事の解任、理事長の解職の在り方については、円滑な学校運営に配慮しつつ、不正・違法があった場合に自律的に速やかに是正されるようにする観点から見直す。評議員会・評議員の在り方については、理事会・監事の監督が機能しない場合に自律的な監督機能が発揮されるよう、評議員会に対するけん制の在り方や教育研究への影響などにも留意して見直す。特に、理事・評議員の兼職、評議員会の構成、評議員の選解任については、現場の実務的な運用に配慮しつつ、適正な在り方となるよう見直す。そのほか、子法人の扱い、過料、刑事罰(特別背任罪、贈収賄罪等)についても、これまでの不祥事事案への指導経過等を踏まえつつ、私学法内での位置付けについて検討する。


 (2)下位法令・通知による改善事項や、ガバナンスコード等の自主的な取り組みの充実要請も含め、今後目指すべき私立学校の運営の在り方およびそのための改革の全体像を広く提示する、としている。


 一方、今後の進め方については、(1)私立学校全体に関わる問題であることを踏まえ、上記の検討の方向性に沿って、関係者の合意形成を丁寧に図る場を設ける。合意形成の場は法律に基づく審議会となる見通し。(2)検討の結果、成案を得られ次第、速やかに法案の提出を目指す。(3)関係者の意思疎通と実態把握を十分に行った上で、必要な改革方策については、ちゅうちょすることなく提示する、としている。

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