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全私学新聞

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記事2020年9月13日 2521号 (1面) 
全私学連合 文科大臣に来年度の予算等で要望
国公私立間の格差是正など要望
大学入試では高3生支援も

 全私学連合(長谷山彰代表=慶應義塾長)を構成する幼稚園から大学までの私学5団体代表と日本私立学校振興・共済事業団の清家篤理事長らが9月4日、文部科学省で萩生田光一大臣に、「令和3年度私立学校関係政府予算に関する要望」と「令和3年度私立学校関係税制改正に関する要望」を提出した。大臣への要望の席で長谷山代表らは、予算面では国公私間の格差是正を、また税制面では新入生を対象とする寄附金控除の対象範囲の拡大等を要請した。萩生田大臣は国立の学生は貧しくて私立の学生は裕福という古い固定概念にとらわれず、学生一人一人に着目した支援が必要との考えを示し、税制面では新入生を対象とする寄附金控除の対象範囲の拡大等についても理解を示した。


 日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長(富士見丘中学・高校理事長・校長)は、「コロナの問題ということではなくて、今やハイブリッドな教育が必要な時代で、そのためにはWiFi環境があまりにも日本は弱い」と語り充実を訴えた。また入試改革に翻弄され続けている高校3年生への支援の充実を要望した。


 香川敬・全日本私立幼稚園連合会長(鞠生幼稚園理事長・園長)は、公私の格差、幼保の格差の是正を要請。続いて重永睦夫・日本私立小学校連合会長(東京都市大学付属小学校長)は、「GIGAスクール構想では私立学校は2分の1補助で、児童全員のパソコン等をそろえるのは厳しい」などと語り、支援の充実を要望した。川並弘純・日本私立短期大学協会常任理事(聖徳大学短期大学部理事長・学園長・学長)は、地方でも重要な存在の短期大学への支援の充実を要請した。このほか、佐藤東洋士・日本私立大学協会長(桜美林大学理事長・総長)、清家理事長が発言した。


 こうした私学側の要請に対して萩生田大臣は、「教育は大事だといろいろな追い風を受けているが、今年の高校3年生、中学校3年生、小学校6年生は本来、学校で受けられるはずのさまざまな行事が中止になったりしている。私は機会あるごとに申し上げたいのが、3月31日までが学期なのだから、たとえ卒業式が終わった後でもいろいろな会をしてあげられないかということ。特に大学進学を控えた高3生の皆さんには本当に申し訳ないが、大学には今年は2次試験、3次試験のように受験の機会拡大を考えてほしいと要請した。大学も今年は特別との気持ちを共有して頑張っていただいているので、皆さんには環境の中でベストを尽くしてほしい。受験の時期にコロナがどうなっているのかとの問題もあるので、今年は何度でも挑戦できる環境にしたい。極端なことを言えばそのことによって4月の入学が少しずれたとしても全ての学校にご協力いただくような覚悟でいる」と答えた。また、「私大助成については9月中旬、750億円を前倒し交付するが、大学では立派なオンライン授業をやっている学校もたくさんある一方で、学生から不安や不満が出ている学校もある。特に1年生で一度もキャンパスに行ったことがない、友達もいない、という状況がある中で、学校をやめようかと相談する人が出ていることは日本にとって損失で、何としても就学を諦めないためにもオンかオフのスイッチではなくて、少しボリュームを付けてコロナ対策を講じてキャンパスに呼び込むことも考えてほしい。必要な設備投資などについては、後ほど見て差し上げることができるよう応援したい」と語った。


 また、「GIGAスクール構想では公私の補助率の違いに関しては、もう少し手厚くできないかと思っているが、1人1台の整備後の運営費をどうしていくのかは考えていかなくてはいけないし、文科省だけの話ではなく、WiFiフリーの国をつくっていかないと、何のことはない、学校に行けばいい環境があるが、家にパソコンを持って帰ったら画面が動かない、では先進国としては恥ずかしいので、総務省や関係省庁とも考えながらしっかりやっていきたい。携帯大手のキャリア3社は25歳以下の学生さんたちに8月末までを期限に50ギガまで開放してくれた。感謝している。今後、第2波が来たら、多少フィーを払っても同じようなことをやってもらうことを考えている」と思いを語った。


 私学団体の要望は全体で33ページと、学校種別に多岐にわたり詳細な内容だが、このうち私大関係では、(1)新型コロナウイルス感染症を契機とした私立大学学生への経済支援、(2)新型コロナウイルス感染症を契機としたICT化に係る支援、(3)新型コロナウイルス感染症を契機とした「安全衛生」「大学病院」に係る支援、オンライン授業の活用等によるリカレント教育の充実・推進のための支援を最重点要望項目としている。


 中高関係では、(1)私立高等学校等の経常費助成費等に対する補助の拡充強化、(2)私立高等学校等におけるICT環境の整備に対する補助の拡充強化、(3)私立高等学校等施設の耐震化及び付帯設備の長寿命化に対する補助の拡充強化、(4)私立高等学校等就学支援金制度の拡充強化、(5)私立中学校等の生徒等への就学支援金制度の拡充強化、(6)日本私学教育研究所研究事業費等に対する補助の拡充強化、小学校関係では、(1)経常費助成費等に対する補助の拡充強化、(2)保護者負担教育費の公私間格差の是正、(3)ICT関係に対する補助の拡充強化を要望。幼稚園関係では、経常費助成費補助制度(幼稚園分)の拡充等、私立幼稚園施設整備費補助制度の充実、新型コロナウイルス感染症への対応のための私立幼稚園への支援の充実等を要望している。


 私学事業団に関しては、令和2年度より開始した私大等に授業料等減免費用に充てるための資金の私大等への交付に関して、3年度からは減免資金に関する実績報告書の精査や調査の実施など業務量が増加することから更なる事務費の予算措置を要望している。



全私学連合 

令和3年度私学関係税制改正要望提出 


寄附促進へ新たな措置等求める 


 全私学連合が9月4日に萩生田光一・文部科学大臣に提出した「令和3年度私立学校関係税制改正に関する要望」は、大きく分けて、(1)学校法人に対する寄附促進のための措置の創設・拡充、(2)教育費に係る経済的負担軽減のための措置の創設・拡充、(3)学校法人の健全な財政基盤の確立に向けた優遇措置の創設・拡充、(4)大規模災害等により被災した学校法人の復興のための特例措置の拡充の4点が柱となっている。これらの中でも全私学連合が要望の筆頭に掲げた、(1)学校法人に対する寄附促進に関しては、私立大学の将来は社会全体で支えるという共助の精神を根付かせ、私立大学の多様な教育研究活動を拡充発展させていく体制を整えることができるか否かにかかっているといっても過言ではなく、寄附募集をより一層容易にするための税制上の優遇措置の拡充が不可欠だと指摘している。


 その上で、新入生を対象とする寄附金控除の対象範囲の拡大、直系尊属からの寄附に係る税額控除限度額の撤廃、法人からの寄附に係る大幅な税額控除、個人からの寄附に係る寄附金全額を税額控除する「大学納税制度(仮称)」の創設、寄附金所得控除に係る繰越し控除制度の創設、寄附金控除の年末調整の対象化など手続きの改善、寄附金税額控除の対象法人となるための認定要件の撤廃の施策を要望している。


 加えて、若手・女子研究者奨励のための寄付税制の創設が要望されている。これは私学事業団の若手・女性研究者奨励金への寄附については、法人の寄附金全額を損金とすることができるようにする措置。


 また教育費に係る経済的負担軽減のための措置の創設・拡充では、教育資金贈与信託に係る贈与税の非課税措置の拡充並びに恒久化等を要望。学校法人の健全な財政基盤の確立に向けた優遇措置の創設・拡充では、消費税に係る負担軽減のための特例措置の創設、資産運用収益に対する非課税措置等の維持・拡充等を要望。大規模災害等により被災した学校法人の復興のための特例措置の拡充では被災した私立学校の入学者に対する教育費の税額控除の導入などを求めている。





萩生田大臣(右から4人目)に要望書を手渡す長谷山・全私学連合代表(左から4人目)

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