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記事2020年7月23日 2517号 (1面) 
教育再生実行会議が再始動
ポストコロナ期における新たな学びの在り方検討
9月入学も検討課題に

 政府の「教育再生実行会議」(座長=鎌田薫・前早稲田大学総長)が7月20日、総理官邸で第46回会議を開催した。同会議が開かれるのは約1年2カ月ぶり。今後は、「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」について検討、来年5月にも提言をまとめる予定。


 具体的には、●初等中等教育段階においては、学校という場の重要性を踏まえつつ、今後どのような状況下でも子供たちの学びを確実に保障する方策等、●高等教育段階においては、国際化やデジタル化の進展に対応しつつ、今回明らかになった課題を踏まえた柔軟かつ強靱(きょうじん)な仕組みの構築等、●秋季入学、学校・家庭・地域を社会全体で支えるための「新たな日常」における働き方等、教育分野にとどまらず社会全体で検討が必要な事項を検討課題としている。


 こうした検討課題に合わせて、同会議内に「初等中等教育ワーキング・グループ」と「高等教育ワーキング・グループ」を設置。


 そのうち初等中等教育WGでは、ICTを活用した新たな学びの在り方(対面とICTのハイブリッド化による対話的・協働的な学びの深化、デジタル教科書の普及・促進等)や、感染症対応、ICT活用のための指導体制や環境整備の在り方などを検討する。


 高等教育WGでは、対面とオンラインのハイブリッド教育の在り方、大学設置基準等の弾力化、社会との接続の在り方や学事暦、修業年限の多様化(通年入学・卒業・採用、リカレント教育の推進等)、高等教育の新たな国際展開(オンライン教育の活用、新たな留学生政策、ジョイント・ディグリーの推進等)を検討する。


 秋季入学や学校・家庭・地域を社会全体で支えるための「新たな日常」における働き方など社会全体で検討が必要な事項については、必要に応じて合同WG等で議論する方針。WGには新たに専門家等が参加する予定。


 9月入学に関しては文科省が各府省庁の協力も得て一斉実施パターンを前提に課題が整理されているが、制度としての秋季入学を直ちに導入せず、「学びの保障」とは切り離して、教育再生実行会議の中で議論していくことになっている。


 例えば、令和2年度に小学校から高校まで在学する児童・生徒の学年の課程を令和3年8月まで延長して実施すると仮定した場合、小学校では令和3年9月に、本来同年4月に入学する予定の子供(1学年分約100万人)に加え、同年4〜8月に満6歳となった子供(5カ月分約40万人)も同時に小学校に繰り上げ入学、当該学年の児童数は他の学年の1・4倍に増加。卒業まで教員や教室の確保が困難。また生まれ月によって受験や就職等の有利・不利が生じる恐れがある。さらに卒業が遅れるため、看護などの専門職に関して半年間、人材不足が生じるなどの課題が確認されている。


 教育再生実行会議の有識者に新たに秋田喜代美・東京大学大学院教育学研究科長・教育学部長と島宗一郎・福岡市長が参加した。これで同会議の有識者は23人となった。同会議の構成員は安倍総理、菅官房長官、萩生田文科大臣兼教育再生担当大臣を加えると26人となる。そのほか与党から馳浩・衆議院議員(自由民主党)、富田茂之・衆議院議員(公明党)がオブザーバーで参加している。

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