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記事2020年6月3日 2512号 (1面) 
中教審、新時代の初中教育特別部会開催
複数委員提案の初中教育改革案を議論
平日日中も家庭で学びたいとの声紹介

 中央教育審議会初等中等教育分科会の「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」(荒瀬克己部会長=関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授)は5月26日、WEB会議方式で第8回会議を開催した。


 この日は、(1)5月22日に文科省が策定した新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル〜「学校の新しい生活様式」、5月15日に通知した「学びの保障」の方向性や、(2)外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議報告書など関係部会等からの検討状況が主な議題だったが、神野元基・株式会社COMPASS代表取締役CEO、今村久美・認定特定非営利活動法人カタリバ代表理事、香山真一・岡山県青少年教育センター閑谷学校所長、岩本悠・島根県教育魅力化特命官(中教審新しい時代の高等学校教育の在り方WG委員)の4人が中心となって作成した「新型コロナウイルス感染症に対応した新しい初等中等教育の在り方について」の提案が神野委員、今村委員から説明され、多くの委員が意見を述べた。


 神野委員らはコロナ禍の中で何も手を打たないと普段以上の詰め込み授業と多くの宿題で、置いていかれる子供、人間関係のトラブル、問題行動、不登校、退学等が増加。GIGAスクール構想はインフラ整備とデバイス配布に終わり、超財政難による教育予算の大幅削減、小規模校の統廃合が全国的に加速し、教育格差が拡大するなどの将来予測を説明。GIGAスクール構想に関しては、インフラ整備に加えて、単位時間・授業時数の弾力化、教員免許制度の見直し、新しい教育様式の策定などソフト整備が不可欠で、学習ログにより学力テスト・試験の代替も可能で、学習環境の個別最適化で学校に通えない子供も含めて誰一人取り残さず健やかな学びを保障すること、オンラインを使って平日日中も家庭で学びたいとの家庭が4割近く存在することなどを紹介した。荒瀬部会長は学校に行く意味ばかりが問われると問題を丁寧に見ることにつながらなくなることを懸念した。


 委員からは、「GIGAスクール構想が進んでいるが情報端末がいつ手に入るのか分からない」「退職教員も教員免許の関係で手助けにならない」「文科省がICTの立ち位置を明確化することが大事、教育とは何か社会を巻き込み本質的な議論をすべきだ」「オンライン教育は集団学校生活の基本があった上で意味がある」「学校でも家庭でもシームレスにICTで学習できるといい。これが最後のチャンス」「オンライン授業の成果や課題について実態調査をしっかりやるべきだ」、「オンライン授業を運用でやるのではなく、制度化すべきだ」などの意見が聞かれた。


 また(1)の衛生管理マニュアルに関しては、地域の感染状況に応じた新しい生活様式を踏まえた学校の行動基準が同省から説明され、具体的な活動場面ごとの感染症予防対策では各教科や部活動、学校給食、図書館、登下校時の感染状況別の予防策などが説明された。


 また5月15日の学びの保障に関しては、年度当初予定していた内容の指導を本年度中に終えることが困難な場合は特例的に令和3〜4年度までを見通した教育課程を編成することも可能であること、授業を学習の動機付けや協働学習、学校でしか実施できない実習等に重点化することなどが説明された。


 (2)に関しては、幼児教育の実践の質向上に関する検討会の中間報告も報告された。


 次回の新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会は6月11日、WEB会議方式で開催の予定。

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