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記事2020年4月13日 2507号 (1面) 
新型コロナウイルス感染症で国が緊急事態宣言発出
緊急経済対策を閣議決定
文部科学省令和2年度補正予算案2763億円
GTGAスクール構想、来年3月までに完了

 新型コロナウイルス感染者の増加が止まらない中で政府は4月7日、新型インフルエンザ等特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発出、感染拡大阻止にこれまで以上に強い姿勢で臨むことを打ち出したほか、同日、事業規模で約108兆2千億円に上る「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」、令和2年度補正予算案を閣議決定した。このうち文部科学省の補正予算案の総額は2763億円。その補正予算案にその他の事業も含めた「緊急経済対策パッケージ」も決定している。


 新型コロナウイルス感染症への国や都道府県の対応は日々刻々と変化しているが、4月7日には藤原誠・文部科学事務次官が、新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドラインの改訂について、国公私立学校等に向け通知を発出、緊急事態宣言の対象区域となった7都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡)に関しては、知事が学校の施設の使用制限や停止を要請できるようになり、特に必要があると認められるときに限り、当該施設管理者等に要請にかかる措置を講ずるよう指示を出すことができることを説明。学校の施設の使用制限等の要請があった場合、臨時休業を行う際に登校日の設定については必要最小限に止め、基本的な感染症対策を徹底するとともに、三つの「密」を避けるため、分散登校や換気の徹底、近距離での会話や発声等の際のマスク使用等を要請。また教員の勤務については、児童生徒等の学習の保障の見地から必要な業務を継続するよう求めている。その際、教員自身の健康に配慮して在宅勤務や時差通勤等の工夫に努めることを求めている。 


 その後、同省は4月10日付初等中等教育局長名通知で臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導についての考えを国公私立学校等に示しており、学校は指導計画を踏まえながら適切な家庭学習(教科書、学校作成のプリント、テレビ放送、ICT教材や動画、テレビ会議システム等)を課し、教師の学習指導や状況把握(電話の活用、家庭訪問、登校日の設定など)と組み合わせて可能な限り学習を支援すること、その後、児童生徒が登校できるようになった後における学習指導については、学校において学習の遅れを補うため可能な限りの措置を講じるとともに、休業中の学校が課した家庭学習を適切に評価するよう求めている。この場合の学校において可能な限りの措置を講じることに関しては、補充のための授業、教育課程に位置付けない補習、家庭学習を適切に課すことなどを例示している。 


 また休業中の学校が課した家庭学習を適切に評価することに関しては、やむを得ず登校できなかった日数は「欠席」とはならないこと、学校が課した家庭学習の状況や成果を学習評価に反省させることを求めている。 


 加えて休業が長期化し、教育課程の実施に支障が生じる事態に備えた特例的な措置についても説明しており、一定の要件下で学校が課した家庭学習の学習状況及び成果を確認した結果、十分な学習内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと学校長が判断した場合には、授業で再度取り扱わないことができる、としている。ただし学習内容の定着が不十分な児童生徒がいる場合には別途個別の補習、追加の家庭学習を適切に課すなどを求めている。 


 一方、文科省の令和2年度補正予算案2763億円のうち2292億円がGIGAスクール構想の加速による学びの保障で、萩生田文部科学大臣は4月7日の記者会見で、令和元年度の補正予算、令和2年度の本予算に加え、令和2年度の補正予算案で令和5年度までの5年計画(児童生徒1人1台端末の整備等)を令和3年3月末までに完了し、小中100%整備を目指す考えを明らかにしている。また緊急事態宣言で指定された7都府県については児童生徒が家庭で使えるパソコンやタブレットがあるかどうか、通信環境も調査し、使える場合は家庭の端末を使用してもらうこと、家庭でそうした環境のない児童生徒に関しては学校のタブレット等を自宅に持ち帰ってもらい、通信環境については文科省がまとめてルーターを借り上げる方針を説明している。通信料金は都道府県の負担としている。また、スマートフォンのギガ数を一定程度増やすよう携帯3社に要請しており、当面、夏までの間に25歳以下については50ギガを開放してもらうとの了解を得ている、と話した。

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