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記事2020年11月3日 2526号 (1面) 
中教審高校教育WGが審議まとめる
スクール・ミッションを再定義
私学団体から「公立の私立学校化」懸念の声

 中央教育審議会初等中等教育分科会の「新しい時代の高等学校教育ワーキンググループ」(主査=荒瀬克己・関西国際大学学長補佐)は11月2日、WEB会議方式で第13回会議を開き、審議まとめ案について最終的な意見交換を行った。委員から出された修正意見等の取り扱いについては主査と事務局(文科省)に一任することとし、審議を終了し、第13回が同WGの最後の会議となった。


 この日示された審議まとめ案は第12回(10月6日)の審議まとめ素案に10月22日に実施した全国高等学校長協会からの意見聴取や同WGの親会議である新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会で聴取した教育関係団体(日本私立中学高等学校連合会等)の意見を反映したもの。


 「多様な生徒が社会とつながり、学ぶ意欲が生まれる魅力ある高等学校教育の実現に向けて」との副題の付いた審議まとめは全体で約60ページ。「第1章 高等学校教育を取り巻く現状と課題認識」「第2章 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を通じて再認識された高等学校の役割・在り方」「第3章 高校生の学習意欲を喚起し、能力を最大限に伸長するための各高等学校の特色化・魅力化に向けた方策」「第4章 定時制・通信制課程等における多様な学習ニーズへの対応と質保証」の4章構成。


 今回の高校教育改革論議では各学校の歴史、社会や地域の歴史、将来の社会像・地域像を見据えて、各学校の存在意義や期待されている社会的役割、目指すべき高校像をススクール・ミッションとして再定義することが必要と指摘。その上で、育成を目指しつつ、「能力に関する方針(グラデュエーション・ポリシー)」、「教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)」、「入学者の受け入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)」を策定・公表する必要性を指摘。スクール・ポリシーの策定・公表は新学習指導要領が年次進行で始まる令和4年度までに取り組むことが基本としつつも、素案段階にはなかった「全教職員が当事者意識を持って取り組むことが可能となるよう、各高等学校の準備状況等も勘案した」、また「設置者ごとに設定可能な」といった文言が追加され、準備期間の解釈を広く取れるような書きぶりとなった。


 審議まとめでは、スクール・ミッションの再定義に関して、私立学校については、創設時の建学の精神等の意義を再認識したり、それらに新たな解釈を加えたり、それらを基礎としながらも、現代社会の有り様や在学する生徒の状況等を踏まえてスクール・ミッションを検討していくことが重要だと指摘している。しかしそうした取り組みは私立学校では広く行われており、公立学校を念頭にした改革案といえる。


 また、審議まとめでは、スクール・ミッションやスクール・ポリシーに基づいて新たな学科の特色・魅力を生かした教育活動を行うためには、必要に応じて校長の在職年数を一定程度確保することや教師の公募制などの体制整備に向けた工夫も考えられる、と指摘しており、一種、公立学校の「私学化」といえる。


 日本私立中学高等学校連合会は10月28日に行われた、高校WGの親部会である「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」の団体ヒアリングで、スクール・ミッションの再定義等について、「自主性や独自性を旨とする私立高校の教育の特質を損なうようなことがあってはならない」と言及。また、「(公立高校)各校にスクール・ミッションを導入すれば、実質的な『私立学校化』に繋がり、公立高校の存立の趣旨に反することになる」と指摘している。また通信制課程の質保証も今回の改革案の焦点に一つだったが、改善策について、素案段階では「考えられる」との表現だったものが、最終的には「適当である」「求められる」との表現に改められ、改善へのより強い意思を示す記述となった。高校WGの最終回の会議でも委員から、通信制高校の特別支援教育に関する教員の専門性を担保できる教員の配置基準を全日制並みに引き上げることが必要との意見も聞かれた。


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