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記事2020年11月13日 2527号 (1面) 
自民党議員に私学助成拡充を要望
私学振興全国大会を開催
中高連、日私小連、日私学保連が主催
代理含め約50人の議員が出席

 日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高校理事長・校長)、日本私立小学校連合会(重永睦夫会長=東京都市大学付属小学校長)、日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会(門傅英慈会長)の3団体は11月4日、東京・芝公園のメルパルクホールに私立学校関係者や保護者ら720人を集め、「私学振興全国大会」を開催した。大会には現在の私学助成の法的根拠となっている私立学校振興助成法の産みの親といえる自由民主党の国会議員49人(本人26人、代理23人)が出席、私学関係者や保護者は私学助成の拡充や教育費の保護者負担軽減等を要望した。


私学振興全国大会は毎年、年末の次年度政府予算案編成が大詰めを迎える前に文部科学省の次年度私学関係概算要求の満額実現を目指して与党・自由民主党で文教関係等の問題に取り組んでいる衆参両院議員を招き、私学関係者や保護者の要望を伝え、実現を要請する機会。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、開催が危ぶまれていたが、例年より参加人数を大幅に減らし、しかも消毒、換気等を徹底して実施した。


 冒頭、中高連の摺河祐彦副会長の開会の辞に続いて主催者を代表してあいさつした吉田中高連会長は、「新型コロナウイルスとの共存という新しい生活様式においてわが国の子供たちが世界の子供たちに後れを取ることがないよう、教育の充実に対する補助は公立、私立を問わず国による十分な支援が行われるべきで、特に小学校から高校まで1人1台の端末整備の早期実現やICT環境の整備は重要。また熱中症の予防や感染症対策としての換気型エアコンへの更新は早急に対応しなくてはいけない課題で総理の言われた脱炭素社会の実現のためには脱フロンガスを考慮しなくてはならないが、億単位の費用が必要になるので、そのご支援もぜひお願いしたい。未来を担う子供たちへの投資はわが国の将来を左右すると言っても過言ではない」などと訴え、一層の支援を要請した。


 この後、日私学保連の門傅会長があいさつし、学校教育のデジタル化の基盤となる児童生徒1人1台の端末の配布と、教育におけるICT環境の整備については公私の別のない支援と、新型コロナウイルスに感染した子供たちの心と体のケア、新型コロナウイルス感染による家計急変世帯への児童生徒の授業料への手厚く、迅速な支援を要請した。


 主催者あいさつの後、文部科学省を代表して田野瀬太道副大臣があいさつに立ち、「GIGAスクール構想の実現と令和時代のスタンダードとして新しい時代の学びの環境整備が進むことが何よりも大事。文科省としては厳しい財政事情の下ではあるが、私学助成の充実など引き続き私立学校の発展のために精いっぱい取り組みたい」と語った。


 続いて元文部科学大臣の河村建夫・衆議院議員があいさつし、「私学の先生方は本当に頑張っておられる。私学が頑張れるように少しでも予算を取ってとの思いがあり、特に耐震化の問題では私学は遅れていた。公立、私立で子供の命の重さに違いはない。耐震化の方は進んできたが、まだ施設設備の問題がある。子供たちが安心して学べる環境をしっかり作るためにも学校整備は必要だ。早くコロナの問題が解決して、子供たちがもっと伸び伸びと学び、スポーツができる環境を作ってまいりたい」と語った。


 また、自由民主党政務調査会を代表して、馳浩・政務調査会長代理(元文科大臣、衆議院議員)があいさつし、「ICT化を通じて目指すべきところは、効率化や教職員の働き方改革は進めるが、一番大切な子供たちと教職員の対面の時間を少しでも多く取る。何でもかんでもオンラインでやればいいというものではない。長年、自民党の文科部会で議論してきたわいせつ教員が教育の場に二度と立つことがないように、来年2月からは40年間公示がされることになった。私学でも情報の活用をお願いしたい。これから来年度予算編成、令和2年度第3次補正予算があり大事な時期となる」などと語った。


 続いて石原伸晃議員が「吉田先生の話を伺ってエアコンによる空気の入れ替えといった身近な問題も後押しをしていかなければいけないと感じた」とあいさつ。


 自民党文部科学部会長の赤池誠章・参議院議員は「税制面では教育資金の一括贈与の非課税の延長をぜひ勝ち取っていきたい。皆さんの思いをしっかりと受け止めてその実現に全力を尽くしたい」と約束した。


 また内閣総理大臣補佐官の木原稔・衆議院議員は「災害などでは公立と私立とでは補助率が全然違う。それを少しでも近づけるため、税制や補助率のかさ上げについて恒久化することも必要だ」と私学振興に努力していく考えを述べた。


 有村治子・参議院議員は「10年ぶりに参議院の文教科学委員会に復帰した。皆さんと志を共にして結果を出していきたい」と語った。引き続き、松本剛明・衆議院議員、古田圭一・衆議院議員、今井絵理子・参議院議員、大岡敏孝・衆議院議員、吉川ゆうみ・参議院議員が一言ずつ私学教育への思いなどを語った。


 この後、中高連の近藤彰郎副会長が「要請」を行い、「今ルールを守って一生懸命努力している先生たちが報われるような規制緩和を行って、その結果として創意工夫して現場で新しいアイデアを出し合って日本のため、社会のために役に立つ教育を成し遂げたいと思っている。私たちはまずお金のことを要求するが、いわゆる自主性、独自性を守ってもらいたいし、何かを行う際にはできるだけ現場の声が取り上げられるようにしてほしい」と語った。


 続いて保護者の代表から保護者負担の軽減や制度の恒久化等を求めた「保護者の願い」が読み上げられ、山谷えり子参議院議員に手渡された。


 さらに保護者の代表が補助金の大幅な拡充等4項目の実現を求めた「決議(案)」を読み上げ、全会一致で「決議」として採択、こちらは田野瀬副大臣に手渡された。 


 私学振興全国大会は例年になく多くの議員があいさつしたこともあり、予定の時間を超えて最後に日私小連の斎藤滋副会長の閉会の辞で全プログラムを終了した。




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