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記事2020年10月23日 2525号 (2面) 
文科省、押印の見直しで通知発出
可能なところから押印の省略や連絡手段デジタル化
ネットを介してのやりとりリスク懸念には紙でもリスクあると指摘

 文部科学省は10月20日、各都道府県の教育委員会教育長や各都道府県知事らに対し「学校が保護者等に求める押印の見直し及び学校・保護者等間における連絡手段のデジタル化の推進について(通知)」を発出した。


 政府はデジタル時代に向けた規制・制度見直しの一環として書面主義や押印の原則などの制度・慣行の見直しを行っている。各学校でも保護者等に対して押印を伴う手続きを求めている実態があり、この手続きのために連絡手段のデジタル化に移行できなかった現状がある。


 6月に内閣府・法務省・経済産業省が共同で発表した「押印についてのQ&A」により、押印が契約に必要な要件とはされておらず押印しなくても法律違反にはならないなど、押印についての考え方が整理されたことを受け、文科省でも学校が保護者等に求める押印の取り扱いについて整理し留意事項をまとめた。


 これにより文科省は、可能なところから押印の省略や連絡手段のデジタル化に向けた取り組みを進めてもらうよう要請。また押印省略や連絡手段のデジタル化の推進により、迅速な情報共有や学校と保護者等双方の負担軽減にも大きく寄与することから、教委等に対しては学校が円滑にデジタル化に移行できるよう支援をお願いするとともに、押印手続きについてのガイドラインを定めている場合は見直しを進めてもらうことも要望している。


  加えて、通知は義務教育の学校を念頭に発出しているものの、幼稚園や高校、特別支援学校においてもこれに準じた取り組みを進めてもらうことを要請している。


 通知には別途連絡手段の具体例やよくある質問について、イラスト入りのイメージ図を添付。保護者向けにアンケートを取る際は独自にフォーム(書式、帳票類)を作成してもらうことや自治体独自のフォームを活用してもらうのに加え「グーグルフォーム」など企業が提供しているものも紹介、教育機関は無償で利用できることも記している。


 学校向けのよくある質問の項目では、「ネット上でやりとりすると個人情報の漏えいが心配です」との質問には「紙・押印の場合でも、子供や教職員が紙を持ち歩いて紛失するリスクはあり、実際に紛失事例は度々発生しています。ゼロリスクはありません」と回答しているほか、「デジタル化は本当に学校の働き方改革にも寄与するのでしょうか?」との問いには「例えば、朝の多忙な時間に連絡帳や学校で受け付けていた欠席連絡もオンラインで受け付けたり、学校・学級・保健だより等の学校からのお便りをオンライン配信にしたりと、活用できる範囲は大きく広がります」と答えている。

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