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記事2019年3月23日 2471号 (1面) 
法科大学院教育と司法試験等法律案
「連携法曹基礎課程」制度創設 
大学院への飛び入学資格を拡大

「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案」が3月12日に国会に提出された。  法科大学院制度は質を維持しつつ法曹人口ニーズの拡大に応えるため、法学教育・司法試験・司法修習を有機的に連携させた「プロセスとしての法曹養成制度」として2004年に創設された。  しかし法学未修者コース修了者の司法試験合格率の低迷や、司法試験の受験資格取得までの時間的経済的負担が問題となり、2013年度以降、募集停止する大学が続出し、現在、ピーク時と比べ志願者数は11%に、入学者数は28%に低下している。  今回提出された法案は、プロセスとしての法曹養成の理念は維持しつつ、法科大学院教育の充実、学生の資質・能力に応じてより短期間で法曹となる道を拡充するなどを目的としたもので、(1)法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の一部改正、(2)学校教育法の一部改正、(3)司法試験法及び裁判所法の一部改正からなっている。  このうち(1)では、法科大学院に教育課程や成績評価・修了認定の基準等の公表を義務付ける法科大学院を設置する大学が当該法科大学院における教育との円滑な接続を図るための課程(連携法曹基礎課程)を置こうとする大学と法曹養成連携協定を締結、文部科学大臣がそれを認定する制度を創設する法学未修者、社会人、早期卒業・飛び入学で入学しようとする者への入学者選抜における配慮義務規定を設ける法科大学院の収容定員の総数その他法曹養成に関する事項について法務大臣と文科大臣の相互協議の規定を設けるを行う。法科大学院の定員増については政令で認可事項とし、文科省告示で入学定員総数は2300人程度を上限とする。また連携法曹基礎課程、いわゆる法曹コースを巡っては、既に法科大学院と連携協定を結ぶ大学が出ている。(2)では、大学院への飛び入学の資格について、当該大学院を置く大学が定める単位を優秀な成績で修得したと認められる者に加えて、当該者と同等以上の資質・能力を有すると認められる者を追加する。具体的には文科省令で法科大学院の「既修者認定試験」を判断材料として規定する。(3)では、法科大学院課程在学者で、所定の単位を修得、かつ1年以内に当該法科大学院課程を修了する見込みと法科大学院を設置する大学の学長が認定した者に司法試験受験資格を与える。この受験資格での受験者は、司法試験合格に加え、法科大学院課程修了を司法修習生の採用に必要な要件とする。予備試験の論文式試験で選択科目を導入し、一般教養科目を廃止する。  施行期日は一部を除いて2020年4月1日。

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