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記事2018年5月3日 2442号 (1面) 
地域振興や多様な人財育成で高校教育は重要
文科相も質向上の仕組み作り等明言
第5回経済財政諮問会議開く
STEM人材育成に向け  私大の公立化の検証も 

高大連携の仕組み拡大


 安倍晋三総理は4月24日、総理官邸で平成30年第5回「経済財政諮問会議」(関係閣僚と4人の民間有識者等で構成)を開き、いわゆる骨太の方針の策定に向け、「教育」と「地方財政」の二つのテーマについて議論した。このうち「教育」に関しては、民間議員が連名で提言を発表。地域振興や多様な人材育成の場として高等学校教育の重要性が非常に高まっているとして、各都道府県内に教育機関産業界と連携する基盤を創設し、人材育成の課題や必要な外部人材、カリキュラムの在り方を基本方針等として提示すること、STEM人材育成に向け高大連携の仕組みを大胆に広げ、工程化を進めること等を提案した。林芳正文部科学大臣も長野県飯田市の事例を挙げ、地域振興の核として高校教育の質の向上の仕組みづくりや、成果の全国普及に取り組む考えを明らかにした。


民間議員の提言は、高等学校教育の機能強化のほか、小学校での英語やプログラミング教育必修化等に向け外部人材など多様なリソースの活用を提案。しかし外部人材を教師として登用する仕組みの「特別免許状」の授与件数が公立小中学校に関しては極めて限定的な利用(累計で35件)に留まっていることを指摘、活用の促進を要望。また近年増えつつある私立大学の公立大学化で、ある大学では公費が11倍に増加する状況があるとして、関連情報の徹底した見える化、地域にとって必要な大学として自立を求めた。一方、林文科大臣は「教育分野における経済財政一体改革の取り組みについて」と題して、今後の教育政策の考え方等を説明。改革を進める大学に対してのメリハリある支援に関して、国立大学運営費交付金の更なる効果的・効率的な活用と評価の在り方について検討を進めること、私学助成については目下、調査研究を進めており、それを踏まえ教育の質に係る客観的な指標を平成31年度から本格実施したいと語った。加えて私立大学の公立化が安易に行われないよう、これまでの公立化事例について設置団体の財政上の影響を整理することで、公立化してどういう効果があったのか、今後どういう経営の見通しになるかについて見える化をしたい、と答えた。野田聖子・総務大臣は、「大学の公立化は議会が決めるという前提もあり、費用のかかる話なので、文科省としっかり相談していきたい」と語った。  茂木敏充・内閣府特命担当大臣(経済財政政策)は、私立大学の公立化が適正に行われているか、よく検証しなければならない」とし、また、「今、私立大学は全国に600校あり、39%が定員割れ、41%が赤字という状況。これらの問題は、人生100年時代構想会議でも林文科大臣とも連携しながら検討していきたい」との考えを示した。   麻生太郎・財務大臣は「大学改革が進まず、定員割れや経営赤字となっている大学を公費で実質的に救済することがあってはいけない。学修成果や就職率、経営状況などを見える化し、教育成果のある大学と、ない大学を相対評価しつつ、教育成果のある大学、意欲と能力がある学生に支援を重点化することで、高等教育の質を高めていくべきだ」などと語った。  このほか、一つの大学法人の下に複数の大学を置く連携・統合方式の検討が国立大学を中心に進められているが、民間議員が名古屋大学を中心に進展している大学の再編構想を取り上げ、先進的な取り組みを全国展開するような仕組み作りを要請。これについて林文科大臣は、「大学等連携推進法人について、中教審に検討してもらっているが、まずはグループになり、いろいろと検討した上で、可能であれば、その先に進むという、2段階で考えていかなけれはならない」と語った。

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