こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2018年10月13日号二ュース >> VIEW

記事2018年10月13日 2456号 (1面) 
専門職大学設置認可は1校
大半は申請を取り下げ2校は審査継続
吉岡大学設置分科会長「総じて準備不足」とコメント

文部科学省の「大学設置・学校法人審議会」は10月5日、平成31年度開設予定の専門職大学、専門職短期大学の設置について柴山昌彦大臣に答申を提出した。  それによると、昨年11月末に申請していた専門職大学13校、専門職短期大学3校については、高知リハビリテーション専門職大学(学校法人高知学園)1校のみが設置「可」の判定を受け、国際ファッション専門職大学(学校法人日本教育財団)とヤマザキ動物看護専門職短期大学(学校法人ヤマザキ学園)が「審査継続(保留)」の判定だった。その他については審査の過程で申請が取り下げられた。今年3月末に現代ビジネス学部現代ビジネス学科の定員の一部(40人)を経営専門職学科に切り替えることを申請していた名古屋産業大学(学校法人菊武学園)は経営専門職学科の開設を当初の計画より1年遅らせて2020年度開設を目指す方針。  設置が「可」とされた高知リハビリテーション専門職大学に関しては、九つの遵守事項、三つの助言事項が附帯事項として付されている。  審査継続となった国際ファッション専門職大学とヤマザキ動物看護専門職短期大学については引き続き審査が行われ、年内には31年度開設を「可」とするか「不可」とするかの結論が出る見通し。2度目の保留はない。  昨年11月末に申請した13校のうち5校は学校法人日本教育財団が設置を申請していたもので、吉川弘之・元東大総長を学長予定者としていた国際工科専門職大学については2020年4月以降の開学を目指して設置計画を変更、申請し直すとしている。  今回の審査結果について文科省の大学設置・学校法人審議会大学設置分科会の吉岡知哉会長(前立教大学総長)は、専門職大学・専門職短期大学が産業界等と密接に連携した実践的な職業教育に重点を置いているといった特性を踏まえ、大学関係者のみならず、当該専攻分野に係る職能団体や産業界の有識者も参画して新たな特別審査会、専門委員会で審査に当たったこと、しかし専門職大学の特色である実習の内容、評価基準、実施体制が十分に検討されていない、優れた実務上の実績がない者が実務家の教授等として申請されている、「実践の理論」を重視した研究を行う施設・設備が整備されていないなどの課題が見られたと指摘。その上で、「多くの申請案件において、制度創設初年度であるものの、総じて準備不足で法人として大学設置に取り組む体制が不十分と感じられた」とのコメントを公表している。  専門職大学・専門職短期大学は質の高い実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として来年4月に創設されるもので、実務家教員が数多く配置され、最新の生きた知識・技術を教授する、産業界や地域の関係者の意見を反映し、地域の産業ニーズに対応した教育課程を編成するなどの点が既存の大学や短期大学との違いとされているが、制度の在り方を審議する段階では既存の大学等でもそうした取り組みは可能として、新たな高等教育機関を創設することに疑問の声もあった。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞