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記事2018年1月23日 2431号 (1面) 
経営系大学院機能強化検討協力者会議
MBAは日米で大差
教育の在り方等を検討

文部科学省は1月19日、わが国の経営系大学院(ビジネススクール)の高度専門職業人養成の機能強化の在り方を検討する「経営系大学院機能強化検討協力者会議」(主査河野宏和・慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授・委員長)の第1回会合を同省内で開催した。  会議の冒頭、河野主査は「日本の経営系大学、ビジネススクールは欧米、アジアと比べてかなり遅れている。ビジネスの領域でリーダーがいるかいないかは国の将来を大きく左右するため、産学連携や国際連携の方策について議論を進め、具体的な提言としてまとめていきたい」とあいさつした。  委員からは、「日本では社内教育の一環として企業からビジネススクールに派遣される人が多く、MBA(経営学修士)を取得してもキャリアアップにつながらない。企業が社外から多様な人材を取り込むという発想に変わってくれば、ビジネススクールも変わるのではないか」「企業は大学院などで学んだことを評価しないため、学生は職業生活や企業で学修したことを生かそうという意識が薄い。こうした悪循環にくさびを入れて好循環に変えていかないといけない」「今まで十何年も同じような議論をしてきたが、産業界が期待するようなものはできていない。ゼロベースで議論をし直さないと実が上がらないのではないか」などの意見が出た。  国内のビジネススクールの現状は、経営系専門職大学院の設置数が30大学30専攻で修了生が約2500人。修士課程は105大学141研究科が設置され、入学定員が3610人。一方、米国はMBAプログラムが1238校に設置され、修了生は約19万人と、日米間で大きな差が生じている。英フィナンシャル・タイムズによるビジネススクールの世界ランキングでは上位100位の半数を米国が占め、日本は一校もランクインしておらず、国際的な評価機関から認証を受けている日本のビジネススクールは、慶應義塾大などわずか数校にとどまる。  協力者会議では今後、経営大学院教育の在り方、産業界との連携方策、経営人材のグローバル化、地方における経営人材育成などを論点に、月1回程度開く会合で議論を進め、年内にも報告書を取りまとめる。

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