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記事2017年9月23日 2420号 (1面) 
中教審将来構想部会制度・教育改革WG
学位の国際的通用性など議論
国内情報センター設立へ

中央教育審議会大学分科会将来構想部会の「制度・教育改革ワーキンググループ」(主査=鈴木典比古・国際教養大学理事長・学長)は9月22日、文部科学省内で第4回会議を開き、今年3月に文部科学大臣から諮問のあった(1)学位等の国際的通用性、(2)大学の海外展開、(3)外国人留学生の受け入れ・日本人学生の海外留学の促進について審議した。このうち外国人留学生の受け入れに関しては、「量的目標の達成にこだわらず、日本のメリットとなるのか質的側面を重視した方がいい。職業関連(分野)で留学生が増加している。卒業後の就労と結び付いているからで、慎重に考えるべきだ」とし、質的管理を求める意見が聞かれた。また留学に関して、「グローバル化だけではなく、留学体験がレジリエンス(立ち直る力)につながることを強く打ち出すべきだ」といった意見も聞かれた。


このうち、学位等の国際的通用性に関しては、日本特有の学位等(例:「準学士」「高度専門士」「修士(専門職)」)について、他国の機関の担当者の理解が得られず、承認に苦労したなどの困難事例があるとして、文科省は、わが国の高等教育制度の仕組みや学位等の種類、機関一覧等を、英語公定訳を含め整理すること、UNESCO「高等教育の資格の承認に関するアジア=太平洋地域規約」の締結と国内情報センターの設立等を通じ、わが国として質の保証を伴う流動性向上のための国際的枠組み作りに参画することなどを提案した。また文科省は学位の専攻分野の名称が増加を続けている「多様化」という現状をどう受け止めるか、学位に付記される専攻分野の名称を見ただけでは「大学で何を学んだのか」分かりにくい問題については、ディプロマサプリメント(学位証書補足資料)を添付することを促進する、「Bachelorof(学術的に広く認知されている分野の名称)in(現在付記している名称)」とすることを促進、類似の教育課程が多いにもかかわらず、2〜3校といった極めて少数の大学でしか用いられていない専攻分野の名称は共通性のある名称に変更も検討すべきではないと論点を提示した。  こうした論点等の提示に委員からは、学位の専攻分野の名称の増加に関して「何もしないことはあり得ない。それなりの基準性が必要」「認証評価を通じ整理すべきだ」「学位と称号の違いをどう説明していくか議論が必要」等の意見が出された。  大学の海外展開に関しては、文科省が論点として、その意義や可能性、わが国の大学が海外校を開設する際の阻害要因等、海外校開設促進のための方策(インセンティブ等)を提示。続いて一橋大学から国境を超えた教育の現状や課題等が報告され、立命館大学からは、「海外における教育課程設立の課題〜大連理工大学・立命館大学国際情報ソフトウェア学部の事例〜」と題して、中国政府認可による共同運営学部を設立した経緯や学部の概要、将来構想、課題等が報告された後、大学の海外展開では、海外でキャンパスを設置、教育課程を開設するには設置基準を満たす校地・校舎の自己所有等が必要でリスクが高く、海外に限定した定員設定・定員管理の柔軟化等が課題で、在外公館や日本関連機関等によるサポートの仕組み、財政支援等が望まれるとした。  外国人留学生の受け入れ・日本人学生の海外留学の促進に関して、文科省から現状等が説明され、世界的に人材獲得競争激化の中で、外国人留学生の受け入れに関しては、より戦略的な対応の必要性等が指摘された。

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