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全私学新聞

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記事2017年6月3日 2410号 (1面) 
私学振興協議会を開催
文科相経験者等と私学団体代表
私学振興等で意見交換

鎌田薫・全私学連合代表(早稲田大学総長)と河村建夫・元文部科学大臣(衆議院議員)が共同代表を務める「私学振興協議会」が5月31日、東京都内のホテルで開かれた。私学団体代表が自由民主党の国会議員に日頃の私学振興への理解や応援に感謝し、私学が抱えている課題や要望、私学振興の在り方等について議員と意見交換した。同協議会は、自民党の文部科学(文部)大臣経験者、文部科学(文教)部会長経験者、現職の文部科学部会長と私学団体代表が出席している。


同協議会では、初めに共同代表の鎌田・全私連代表が、議員の日頃の私学振興への理解や指導に感謝した上で、私学振興の中核をなす私学助成や税制の更なる拡充を要請した。  一方、河村共同代表は、恒久的な教育財源を含めて大切な教育をどう位置付けるか、党内で議論していること、私学全体を盛り上げるため、私学問題についても真正面から取り組もうと党内の機運を盛り上げているところ、と語った。  また亀岡偉民・文部科学部会長は、予算要求では(どうしても私学振興予算は必要だという)必然性をもっとつくるべきだ」と語り、私立学校が社会貢献や地方創生の担い手としての役割を積極的に果たすことへの強い期待感を表明した。  その後、私学団体側から、学校種別に現在抱えている課題や、平成30年度政府予算への要望等が説明された。  各学校種に共通する課題に関しては、鎌田・全私連代表が、(1)基盤経費である私学助成の更なる拡充(2)私立学校施設の耐震改築(改修)事業促進への支援の大幅拡充(3)消費税率の引き上げに伴う私立学校の負担軽減措置(4)私立学校に対する寄附税制の一層の改善(5)東日本大震災、熊本地震の被災校・被災学生生徒等への継続支援等を要請。  続いて大学関係では日本私立大学団体連合会代議員の佐藤東洋士・桜美林大学理事長・総長が、大学教育の質的転換のための基盤的経費の確実な措置・拡充、学生の修学上の経済的負担軽減のための支援、地方の知の拠点形成のための支援等を要望した上で、「(私立大学を中心とする)高等教育政策のパラダイムシフトを」と訴えた。  短期大学に関しては関口修・日本私立短期大学協会長(郡山女子大学短期大学部理事長・学長)が各地域の短大で学ぶ女子学生(学生の8割超)が地元で就職、定着し、農業や地域活性化で大きな役割を果たしていることを説明、「地方での短大の役割を是非認識して頂きたい」と要請した。  中学・高校関係では吉田晋・日本私立中学高等学校連合会長(富士見丘中学高校理事長・校長)は、国で私学助成財源を確保しても県によっては、それを下回る助成水準となっていること、私立学校施設の耐震化への一層の支援、新しい学習指導要領等に対応するためICT関係予算の拡充等を要望した。  小学校に関しては、小泉清裕・日本私立小学校連合会長(昭和女子大学附属昭和小学校長)が経常費補助や耐震化関係予算の拡充、小・中学校生への公的支援制度の支援額や対象拡大、教員研修への支援拡充等を要請した。  幼稚園に関しては、北條泰雅・全日本私立幼稚園連合会副会長(みなと幼稚園理事長・園長)が全ての問題の下支えとなる「幼児教育振興法」の早期制定を要請した。


出席議員


教育の無償化私学でも議論を


教員の国家試験化実現したい


 


こうした私学団体からの要請に河村共同代表は理解を示した上で、私大等経常費補助の補助率が10%を切る水準になったことに関しては「我々も看過できない」とし、また国公立に比べ遅れている私学の耐震化についてはしっかり応援したいとした。さらに地方創生は大学が拠点とならなければいけないとし、短大の活性化をもっと考えるべきで、東京への一極集中に関しては是正も止むを得ないが経過措置を設ける方向で調整が行われていると語った。  下村博文・元文部科学大臣(衆議院議員)は、私学振興のステージが大きく変わってきていることを指摘、新憲法の施行を2020年としたこと、憲法に書き込む教育の無償化の議論が進んでいることを説明し、教育の無償化に向けて私学側でも21世紀の人材養成をどうするかなどの議論をしてほしいと要請した。  中曽根弘文・元文部大臣(参議院議員)は短大の役割にしっかり支援を行いたいとの考えを示し、また教員の質の向上に関しては長期の社会体験実習の制度化を是非実現したいと語った。  亀岡・文部科学部会長は、教員については国家試験化に向け取り組み始めていることを説明。  渡海紀三朗・元文部科学大臣(衆議院議員)は高等教育の無償化には大学等の改革が前提で、改革にも注文を付けていくことになる、との見通しを明らかにした。  冨岡勉・元文部科学部会長(衆議院議員)は、「教育の恒常的な財源としては、やはり本命は消費税だと思う」と語り、国公私全体で財源問題を検討してはどうか、との考えを示した。最後に鎌田共同代表は、教育の無償化については私学としても組織的に検討する考えを明らかにし、また、地方創生で東京23区内で大学の新増設を抑制するという方針については、一律にだめだではなく、実態に応じた対応の必要性を強調した。

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