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記事2017年3月23日 2403号 (1面) 
平成28年度私立大学等経常費補助金交付状況を公表
私学事業団 大学等877校に3200億円余
学生1人当たりは15万8千円

日本私立学校振興・共済事業団(河田悌一理事長)はこのほど、平成28年度私立大学等経常費補助金の交付状況を公表した。それによると、補助金の交付を受けたのは、全国の私立の大学、短期大学、高等専門学校の計931校中877校で、交付総額は前年度比37億3883万8千円増の3211億6333万7千円だった。残りの54校は大学等設置後まだ完成年度(標準修業年限)に達していない、あるいは学生募集を停止、申請がない等の理由で不交付となった。 (2面に関連表)


交付額を学生1人当たりに換算すると、大学で15万6千円、短大で19万円、高専で21万7千円、全体の平均額は15万8千円だった。  私立大学等経常費補助金は昭和50年に成立した私立学校振興助成法が法的根拠となっているが、補助率(私立大学等の経常的経費に占める同補助金の割合)はピーク時の昭和55年度の29・5%から漸減傾向が止まらず、平成27年度の当初予算では初めて10%を割り込み、9・9%となり、同法が制定される以前の水準の補助率となっている。同法等では補助率50%を目標としているが法の理念とは懸け離れた状況といえる。  同補助金の平成28年度交付額を1校当たりに換算すると、大学が5億2084万3千円、短大が7829万1千円、高専が1億6087万6千円だった。  これと比べ国立大学の1大学当たりの平均公費投入額は約143億円(平成24年度)。  前述の学生1人当たりに投じられる公財政支出を国立大学と比べると、国立大学学生1人当たりの公財政支出額は、下の棒グラフにあるように約218万円に上っており、私立大学の約13倍にもなっている。  平成28年度の私立大学等経常費補助金3211億6333万7千円のうち、教職員数や学生数等に所定の単価を乗じて得た基準額を教育研究条件の状況に応じて傾斜配分する「一般補助」が2701億3600万円、教育研究に関する特色ある取り組みに応じて配分する「特別補助」が510億2733万7千円という内訳だった。前年度に比べて一般補助が減額、特別補助が増額されている。特別補助の約31%は大学院等の機能の高度化に充てられ、また授業料減免および学生の経済的支援体制の充実に約15%が、成長力強化に貢献する質の高い教育、社会人の組織的な受け入れ、大学等の国際交流の基盤整備にそれぞれ10%強が充てられている。  その他、東日本大震災からの復興支援と平成28年熊本地震からの復興支援に合わせて9%が支出されている。  一方、不交付となった54校の事由別内訳は、「未完成」が7校、「募集停止」が17校、「他省庁補助」が2校、「申請なし」が26校、「その他」が2校(放送大学、沖縄科学技術大学院大学、文部科学省が直接補助)だった。  その他、二つの学校法人の大学について管理運営不適正を事由に25%の減額措置が取られた。  大学等別の補助金交付状況を見ると、最も補助額が大きかったのは早稲田大学で一般補助と特別補助を合わせて約90億5千万円、以下、2位が東海大学(88億8千万円)、3位が慶應義塾大学(87億3千万円)、4位が日本大学(83億5千万円)、5位が立命館大学(55億4千万円)と続いているが、119校は同補助額が1億円以下で、最も少ない大学は補助額が約1100万円。  私立短期大学の交付状況では、1位が郡山女子大学短期大学部で約3億7千万円、以下、2位が鹿児島女子短期大学で約2億5千万円、3位が大阪成蹊短期大学で約2億4千万円、4位が武庫川女子大学短期大学部で約2億4千万円、5位が長崎短期大学で約2億1千万円だった。最も少ない短大は補助額が567万円だった。  私立高専は3校のみ。補助額は約1億4千万円から約1億9千万円といった状況だった。

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