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全私学新聞

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記事2017年11月13日 2425号 (1面) 
広域通信制高校 国に指導・監督責任
全審連が金沢で総会開く
文科省に積極関与要望
通学コースの設置基準求める意見も

各都道府県私立学校審議会委員で構成する全国私立学校審議会連合会(会長=近藤彰郎・東京都私立学校審議会長)は10月26・27の2日間、石川県金沢市内のホテルで第72回総会を開いた。総会では都道府県の私立学校主管部局の担当者も交え私立学校や私学行政が直面している課題について情報交換、意見交換を行った。


この中では同連合会が足かけ20年にわたり文部科学省に要望を続けてきた広域通信制高校をめぐる問題が一歩前進を見たものの、通信制高校に「通学コース」が広がっている問題等について文科省に広域通信制高校に対する指導・監督責任を求める意見が私学審議会委員や行政担当者から相次いで出された。  同連合会では引き続き文科省に制度を作った責任者としての責任を求めていく考え。  このうち小・中・高校問題について情報交換・意見交換した第三専門部会では、初めに文部科学省の初等中等教育企画課教育制度改革室の福澤光祐専門官が広域通信制高校をめぐる問題に関して、課題と改善の方向性等について説明を行った。  その中では、一部広域通信制高校の実地検査を行い、「驚いた。新しい時代に求められる資質が身に付けられるのか疑問に思った。通信制も全日制と同じ学びが前提。通信制は面接指導、添削指導、試験の三つを行うことが肝。しかしそれがあやふやになっている。(通信制でありながら)半数以上の生徒が通学コースで学んでいる。通学コースは公立にもあるが、その他では学習習慣の確立という本来の姿とかけ離れた実態がある。通信制+通学制コースで高い費用となること、指導が通信制と通学コースでダブルスタンダードとなっている。通信制がおまけになっている」など数多くの課題を抱えた実態等を報告したが、広域通信制高校の指導認可はあくまで都道府県の担当との考えをにじませたこともあって、東京の吉田晋委員(日本私立中学高等学校連合会長)から「認可県が全国に散在する広域通信制高校のサテライト施設を一校一校見て回れる訳がない。文科省が省令を決めても都道府県で行えるのか。文科省が実施を検討している問題校への補助金カットについても効果は疑問。(複数の都道府県にまたがる)広域通信制高校については国が見るか、国の所管にすべきだ。通学コースについても設置基準(教員の数)を決めるべきだ。文科省ももう少し自分たちの責任を感じてほしい」と訴えた。  私学審議会委員からは、「全日制から安易に通信制に転出していく。現実を知ってほしい」「通信制については設置基準をしっかりとすべきだ。大学の教職課程のように再課程認定をすべきだ」「文部科学省から広域通信制高校に関するガイドラインが出されたが、県外施設は手に余る。県に任されても困る。国がやるべきだ」いった意見が聞かれ、また行政担当者からは県で話し合ったこととして、認可県が広域通信制高校の県外施設を見て回る予算が少ないこと、また改善の強制力もないこと、広域通信制高校の指導権限を国が引き取り、その上で県に委託してほしい、高いレベルの質保証を求めるならば学校評価、第三者評価をしてほしい、との要望が出された。  また広域通信制高校の認可県外の施設の立ち入り検査については「限られた予算、人員の中で毎年1、2校を抽出して調査を行っている、全く調査を止めてしまうと検査はないと思われてしまうので」と語る県担当者もいた。  全審連では、総会で協議された内容を運営理事会で文書にまとめ、必要に応じ、国や都道府県に要望の実現を陳情していく方針。  平成30年度総会は10月16・17日に香川県高松市で開催する予定。

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