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記事2017年10月13日 2422号 (1面) 
地域における高等教育を議論
定員確保とともに質の調整求める意見も

中央教育審議会大学分科会将来構想部会(分科会長=永田恭介・筑波大学長)は10月4日、文部科学省内で第6回会合を開いた。今後の産業構造や人口構成の変化を見据えて高等教育の将来を検討する部会で、この日は地域における高等教育を議題とした。  議論に先立って、地域別・分野別に見た高等教育機関の全国分布や、それぞれの定員充足率などのデータが発表された。進学に際して各地域からの流出入数、地域内進学の割合なども明らかになり、教育系は流出入が安定しているが、人文・社会系は地方において定員が極めて少なく、工学系は都市部において定員の割合が相対的に低い、といった状況などが分かった。これを受けて、全ての分野において一定規模の定員が地域で用意されるべきか、地域における研究拠点の形成の観点ではどう考えるかといった論点が示されている。  委員からは「短大のような元から地元貢献型の教育機関の位置付けも考えてほしい」「『その他』とされた分野がかなり多い。内訳を分析する必要がある」など分野に関する意見、「都道府県別でなく、広く地域別に大学の位置付けを考えるべきだ」という地域の捉え方に関する意見、「本当なら分野と定員だけでなく、大学のレベルも考えるべきところだ。目指す分野の学部があるから地元の大学を選ぶ、というものではない」「将来の人材育成のために課題解決を目指すのだから、定員の調整だけでなく質の調整を考えなくてはならない」など「大学の質」という観点での意見まで出た。  また、議論とは別に立教大学総長の吉岡知哉委員、筑波大学特命教授の金子元久委員がそれぞれ発表を行った。吉岡委員は「あるべき人材像」を描いての人材育成には限界がある、とリベラルアーツ教育の重要性を強調。併せて、複数のキャリアパス整備や、学位を軽視する企業の意識改革の必要性などを訴えた。金子委員は、産業構造や組織の形態が多様化し、人材需要も変化していることを踏まえて、大学が今後取るべきアプローチとして(1)専門分野別の知識修得標準の形成、(2)汎用能力形成のシステム化、(3)教育プログラムの設定の3点を挙げた。

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