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記事2017年10月13日 2422号 (1面) 
地方大学の振興等有識者会議開催
東京での大学新増設抑制を主議題に
地方大学の改革事例報告

内閣府の「地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議」(座長=坂根正弘・コマツ相談役)が10月5日、東京・霞が関の中央合同庁舎第4号館で第11回会合を開いた。東京における大学の新増設の抑制を主な議題としたが結論を急がず、次回も引き続いて議論を行う。年内に最終報告を取りまとめる予定。 6月9日に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」は、地方創生に資する大学改革の具体的な取り組みとして、東京23区における大学の新増設の抑制と地方移転の促進を挙げている。東京一極集中の加速化、東京と地方の就学機会の格差拡大、東京圏周縁地域の衰退の懸念などを踏まえたものだが、一方で「学問の自由や教育を受ける権利に対する強い制約だ」「私立大学は収入の大半を学生納付金に頼らざるを得ず、定員抑制は教育再生やイノベーティブな研究の推進を妨げる」といった反対意見も出ている。文部科学省は暫定的な対応として、平成30年度の定員増、31年度の大学設置は抑制の対象とするが、31年度の学部などの設置と定員増については、この有識者会議の最終報告を踏まえて対応する、としている。社会人、留学生の例外の追加なども最終報告を踏まえて改めて検討される。  この日の議論では、東京の抑制を第一とせずに地方をどうするかを雇用とワンセットで考えるのが論理的だとの見方や、今後の人口減少において国全体で大学をどう配置するのが適正かを考えるべきだといった俯瞰(ふかん)的な視点が示された。また、地方大学の改革の事例として、今年4月にデータサイエンス(DS)学部を新設した滋賀大学の須江雅彦副学長がその経緯を発表。経済学部などの定員を減らして設けた日本初のDS学部で、学長がリーダーシップを取ったこと、数年がかりで段階を追って進めたことなどが成功を支えた、とした。日本のDS教育を先導する研究拠点とも評価されており、今後は若手人材の育成に加えて企業人材の高度化や産学連携プロジェクトなども手掛けていく、とした。他に石田朋靖・宇都宮大学長が、同大学地域デザイン科学部の設置と大学改革について発表を行った。

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