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記事2016年9月13日 2385号 (1面) 
第6回私大等の振興に関する検討会議開催
「意見の整理」を提示、検討
国公私立間の公費支出格差是正では様々な意見

文部科学省の「私立大学等の振興に関する検討会議」(座長=黒田壽二・金沢工業大学学長園・総長)の第6回会合が8月30日、東京都内で開かれ、過去5回の会議で委員から出された意見の要点を整理したまとめが提示され、検討が行われた。  意見の整理は、A4判で5ページ弱。  内容は、(1)検討会の進め方等について、(2)私立大学の位置付け、(3)学校法人のガバナンス強化、(4)学校法人の経営力の強化、(5)財政基盤の確立、の5項目が柱。  このうち、(1)検討会の進め方等に関しては、私大の規模や所在地等が異なる中で、「全ての私立大学を一律に論じることは困難。類型化して分析し、課題を明らかにし、実態に応じた対応策を検討すべき」との意見を上げており、また、私立大学の位置付けに関しては、国公立も含めた「高等教育の全体像の中での私立大学の位置付けを検討し、国として私立大学をどのように育てていくか方向性を示すべき」といった意見や、短大、制度化が進む実践的な職業教育に特化した新たな高等教育機関を含めて国公私立の設置形態を超えた連携やプラットホームを整備する、短期大学の振興策を検討すべき、地方政府の役割にも着目して私立大学の果たすべき役割や地位政策等を考えるべき、といった意見を紹介している。  学校法人のガバナンス強化に関しては、公共性は内在するのではなく、作っていくものだとして、「学校の外部性、公共性をどのようにして高めていくか検討すべき」「理事・監事・評議員の善管注意義務や損害賠償責任規定の整備を検討すべき」等の意見を上げている。  学校法人の経営力の強化に関しては、「中小規模私立大学は今後も必要で、それらの大学に焦点化した資金循環の在り方など、経営基盤の強化方策を検討すべきなど掲載され、また、財政基盤の確立に関しては、「米国で行われている高授業料・高奨学金政策等の是非を含め、授業料の在り方や私立大学への寄附を促進する税制の仕組み、ファンドレイジングの方法について検討する必要がないか」等の意見を紹介、公財政支出に関しては、「私立大学に対する助成をどのようにしていくべきか、実態としてどのような目標を掲げるべきなのか、国立大学の状況も踏まえながら検討すべき」「多様な資金を獲得し、私立大学の財政を確固たるものとするため、国だけではなく地方公共団体からの支援や地方の産業界・財界からの支援を受けるための方策を検討すべき」等、としている。こうした意見の整理に委員からは、私立大学を類型化しての課題の明確化の重要性を指摘する意見が聞かれる一方で、私学事業団で14に分類、経営相談や研修なども行われていること、学生一人当たり公費が国立大学では230万、240万円の一方、私立大学への公費は学生1人当たり15〜17万円という中で国公私立大学間の競争環境は整っているのか、財務情報をさらに公開するよう私立学校法の改正を行うべきといった意見が聞かれた。同検討会議では作業部会を設け、私大の在り方等をさらに専門的に検討していくことを決めた。

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