こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2016年6月3日号二ュース >> VIEW

記事2016年6月3日 2376号 (1面) 
私学振興協議会を開催 全私学連合
私学の耐震化さらなる支援要請
自民党議員と私学が直面する課題等で協議

清家篤・全私学連合代表(慶應義塾長)と自由民主党の河村建夫・元文部科学大臣(衆議院議員)が共同代表を務める「私学振興協議会」が5月20日、都内のホテルで開かれ、大学から幼稚園までの各私学団体代表が私立学校の直面する喫緊の課題等を説明、出席の国会議員に理解や支援等を要請した。この私学振興協議会は、全私学連合を構成する5団体の代表と、自民党の文部科学(文部)大臣経験者、現職の文部科学部会長、文部科学(文教)部会長経験者の国会議員が今後の私学振興等について意見交換する場。3年前に設置された。


この日は、冒頭、清家共同代表があいさつに立ち、日頃の私学振興への支援を議員に感謝した上で、現在も余震が続く「平成28年熊本地震」で私立学校の学生や生徒、教員、施設等が数多く被災したことに触れ、「学生、生徒の生命や安全に関してだけは国公私立学校間で格差があってはならない。私立学校の耐震化をしっかりと進めたい。これまでにも増してご支援を頂きたい。また今回の震災で子供たちが一人も進学の機会を奪われることがないよう配慮を願いたい」と要請した。  一方、河村共同代表は、私立学校施設の耐震化推進に引き続き尽力する考えを明らかにした上で、大学政策に触れ、「地方創生では地方の私立大学の活性化がいかに大事か認識を新たにした。そうしたことが私学助成の中で重要な要素になってきている。しかし外国から見て日本は最も教育費に金をかけない国になった。国公私立学校が一体となり、いかに教育費の重要性を訴え、伸ばしていくか、ということをもっと本気に考える時が来ている」などと語った。  また、木原稔・文部科学部会長は、地元・熊本市に帰省中、震度6強の地震に遭遇したこと、その熊本地震では被災者の避難場所の約7割は学校だったこと、耐震化していた施設と、していなかった施設で被害に大きな差が生じたこと、私立学校は自ら手を挙げて被災者を受け入れたことなどを語り、改めてトイレや空調の整備も含めて学校施設の耐震化等を急ぐ必要性を強調し、「公私間格差のない学校づくりにまい進したい」と語った。  この後、私学団体代表がそれぞれ直面する課題を説明。その後、議員と意見交換が行われた。  初めに清家・全私学連合代表が私立学校に共通する当面の課題として、私立学校施設耐震化支援の大幅な拡充や、私立学校の基盤経費である私学助成の更なる拡充等を要請、引き続き日本私立大学団体連合会の会長の立場から大学教育の質的転換のための基盤的経費の確実な措置・拡充、学生の修学上の経済的負担のための支援(授業料減免や給付型奨学金の創設など)を要請。特に授業料減免を受けられる学生が国立大学では30%に上るのに対して、私立大学では2%に過ぎない格差を指摘し、特段の配慮を要請した。また同連合会の黒田壽二副会長(金沢工業大学学園長・総長)は、人口が地方から都市部に流出する中で地方の私立大学、短大の定員割れは構造的な問題だとして、現行の定員充足率50%以下の場合、補助金が不交付となる基準の撤廃と、私学助成全体に大学の社会貢献度を反映させるよう求めた。  日本私立短期大学協会の関口修会長(郡山女子大学短期大学部理事長・学長)は、短期大学が持っている教育・研究等のリソースを地方創生で十分生かしてほしいと要請。  日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長(富士見丘中学高校理事長・校長)は、被災校の復旧では公私間で国の補助率に大きく開きがあることを指摘して私立学校施設耐震化支援の拡充を要請、また熊本地震で家が全半壊した私立中高生が500人を上回ることを指摘して修学上の経済的負担の軽減のための支援を求め、また私立中学校生徒への公的支援制度の創設やICT教育の充実等を要望した。  日本私立小学校連合会の小泉清裕副会長(昭和女子大学附属昭和小学校長)は経常経費の2分の1助成の実現や特別な教科・道徳では宗教系の学校が多い私立学校への配慮や、英語の教科化では長年の蓄積を持つ私立小学校の実践を生かせる配慮を要請した。  全日本私立幼稚園連合会の北條泰雅副会長(みなと幼稚園理事長・園長)は、議員立法の「幼児教育振興法案」の成立を要請した。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞