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記事2016年6月13日 2377号 (1面) 
名目GDP600兆円の実現目指して
日本再興戦略2016を決定

安倍総理は6月2日、総理官邸で平成28年第10回経済財政諮問会議・第28回産業競争力会議合同会議を開催した。会議では「経済財政運営と改革の基本方針2016」(案)(いわゆる「骨太の方針」2016)と「日本再興戦略2016」(案)が討議され、決定された。このうち「日本再興戦略2016」は戦後最大の名目GDP600兆円の実現を目指して、(1)新たな有望成長市場の戦略的創出(2)生産性革命(3)新たな産業構造を支える人材強化に向けた改革が重要で、これこそが、成長戦略の第2ステージの新たな使命としている。


新産業構造を支える人材育成


高度外国人材の呼び込みも


 「日本再興戦略2016」の具体的施策のうち、イノベーション・ベンチャー創出力の強化では、大学、国立研究開発法人が生まれ変わることに大きな期待感を寄せており、GDP600兆円の実現はそれにかかっているとし、「組織」対「組織」の産学連携(企業から大学・国立研究開発法人等への投資3倍増:2025年度まで、国内外のトップ人材を集めた世界的研究拠点5か所創出)、「人工知能技術戦略会議」における研究開発・産業化戦略の具体化などが鍵となる施策としている。  また多面的アプローチによる人材の育成・確保等では、初等中等教育でのプログラミング教育の必修化(2020年〜)、IT活用による習熟度別学習、高等教育での数理・情報教育の強化、トップレベル情報人材の育成、世界最速級の「日本版高度外国人材グリーンカード」の創設(高度外国人材の永住権付与の迅速化)等が鍵となる施策としている。特に人材力の強化では、新たに「授業中にITを活用して指導することができる教員の割合」「都道府県及び市町村におけるIT環境整備計画の策定率」「無線LANの普通教室への整備」の3点にについて2020年度までにそれぞれ100%をめざすことをKPI(重要業績評価指標)に掲げている。  また学校現場で利用されるIT教材・コンテンツに関しては、平成28年度中に学校関係者や教育関連・IT関連企業・ベンチャー等で構成される官民コンソーシアムを設立、優れた教育コンテンツの開発・共有や学校への外部人材の派遣などITを活用した教育を加速させる官民連携の取り組みを開始する。また教員養成・研修において、IT等を活用した教員の授業力をさらに向上させるための取り組みを強化する方針で、教員養成・採用・研修の一体的改革のための法案について、次期国会を含め早期提出を目指すとしており、同時に特別免許状や特別非常勤講師制度の活用を促進するとしている。  さらに「教育の情報化加速化プラン」を今年夏までに策定し、例えば教員が作成した自作教材等をクラウド等で管理・共有する際の著作権に関する課題などを解決するための著作権制度・ライセンスの在り方について検討し、平成28年度中に文化審議会であるべき方向性を取りまとめることを目指す、としている。  高等教育に関しては、卓越大学院(仮称)・卓越研究員制度により世界トップレベルの人材の輩出、高度なレベルのデータサイエンティストなどを育成する学部・大学院の整備を促進する。また全学的に数理・情報教育の強化を図る。  さらに「職業プロ養成機関」として、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を創設するとしている。新たな高等教育機関については平成31年度開学の予定で、平成28年中に法的措置を講じ、法案成立後速やかに設置基準を整備する。平成28年度から周知・募集を開始する。専門職大学院、高等専門学校、専修学校における高度職業人等の養成機能の充実も図る、としている。

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