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記事2016年4月23日 2372号 (1面) 
私立小学校108校の施設等に被害
平成28年(2016年)熊本地震発生
体育館天井落下、柱に亀裂 私大生3人死亡、生徒ら62人負傷

4月14日と16日の2度の震度7の地震で、熊本県を中心に甚大な被害をもたらした「平成28年(2016年)熊本地震」では私立学校にも大きな被害が生じている。文部科学省のまとめ(4月20日、午後4時現在)によると、私立大学生3人が死亡、学生・生徒・園児・教職員62人が負傷(軽傷26人、けがの程度確認中36人)、また108校で体育館の天井落下など校舎等に被害が生じている。そうした中でも避難所の指定がない学校を含め熊本県内の私立高校11校、私立大学1校が地域の避難者を受け入れている。


文科省のまとめによると、私立学校に関しては108校が施設等に被害を受けていた。108校のうち96校が熊本県の学校で、その他7校が大分県、5校が福岡県の学校だった。  被災校を学校種別に見ると、幼稚園が32校、中学校が6校、高校が16校、大学が13校、短大が4校、専修学校・各種学校が21校、認定こども園が16校だった。  このうち熊本県の私立中学・高校の物的被害状況を、同県総務課のまとめ(4月19日、午前9時現在)から見ると、熊本市内の学校では、校舎外壁の損壊等(尚絅中学・高校)、OA室のパソコンの破損等(熊本中央高校)、新校舎旧校舎共に柱に亀裂等(開新高校)、体育館の天井落下・校舎の損傷等(鎮西中学・高校)、屋内プール・校舎の破損等(九州学院高校)、歴史的建造物〈校舎〉の天井煙突が崩落等(ルーテル学院高校)などで、その他の学校でも壁破損、水道管破裂、校舎壁面崩落といった被害状況が広く見られる。また、授業に関しては4月22日までは休校、あるいは未定という状況で、25日以降については授業が行えるかについて、各学校で検討が続けられている。  今回、写真を提供いただいた学校法人鎮西学園では体育館内部のつり天井のボードが多数崩落、体育館内部の柱が破壊され、昭和35年完成の1号館の大半の柱に、せん断破壊が発生するなどした。一方、昨年度から耐震改修中の本館工事に伴う仮設プレハブ校舎の3教室を避難所として開放、学校職員と卒業生ボランティアで運営。男子寮1階食堂スペースを使い他県からの医師等60人に寝食場所を提供している。またプールの水も生活用水用に提供した。  熊本県内の私立幼稚園について、施設の被害状況を同県総務課のまとめ(4月18日、午後2時現在)から見ると、ガラス破損、壁落下、2階床にヒビ・天井変形などの状況が見られるが、阿蘇地域の私立幼稚園では地割れ・園舎内不明といった厳しい状況も見られる。  熊本県内の私立大学では、4月14日の地震の震源近くに所在する平成音楽大学(上益城郡御船町)は、幸いにも人的被害はなかったものの施設に甚大な被害を受けて休講中。現在のところ再開のめどが立っていない。  熊本市東区に熊本キャンパス、阿蘇郡南阿蘇村に阿蘇キャンパスを持つ東海大学は死亡3人、負傷36人の人的被害を受けた。施設の被害も大きく、熊本は全館入館禁止、阿蘇も主要な施設が入館禁止。熊本は5月15日まで、阿蘇は6月30日まで休講としている。熊本市中央区に所在する九州ルーテル学院大学、熊本学園大学、尚絅大学、北区の熊本保健科学大学、西区の崇城大学には壁の剥落、ガラス破損、天井落下などの被害があり、復旧作業および専門業者による安全確認を行っている。いずれも休講中で、5月上旬再開を目指している。人的被害はなし。  玉名市の九州看護福祉大学、八代市の中九州短期大学も同様に復旧作業と安全確認が必要で休講中、5月9日再開予定。  大分県では別府市の別府大学、別府溝部学園短期大学、立命館アジア太平洋大学(APU)に壁面のヒビ、ガラス破損などの被害があった。別府溝部短大は既に講義を再開。APUは4月25日再開予定。別府大は施設は利用可能だが学生の不安等を考慮し休講中。  馳浩・文部科学大臣は4月15日と19日の記者会見で熊本地震を取り上げて、被災地支援に全力で取り組んでいく考えなどを明らかにしている。また4月19日の全国学力・学習状況調査については熊本県(全域)や宮崎県(一部市町村)等で救援物資の運搬が優先のため問題用紙の運搬ができないことから同日の実施を見送ることを決めている(ただし5月6日までは実施可能)。今後については、児童生徒等の心のケアが必要になってくると語っており、また文化財にも大きな被害が生じていることが分かっているが、できる限り早急に専門家派遣を行いたい考え。

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