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記事2016年2月3日 2364号 (1面) 
大学入学希望者学力評価テスト複数回実施見送り
高大接続システム改革会議
記述式問題等の導入で複数回実施の狙い実現
基礎学力テストは更に具体的仕組み検討

文部科学省の高大接続システム改革会議(座長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)は1月29日、同省内で第10回会議を開き、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」と「高等学校基礎学力テスト(仮称)」について審議を進めた。この日は、事務局・文科省から「大学入学希望者学力評価テスト」の論点メモ案が提示され、その中で同テストの実施回数について、当面、年複数回実施を見送る方針が示された。同テストについては、これまで大学入学希望者に挑戦の機会を与えるとともに、資格試験的利用を促進する観点から、年複数回実施の方針が示されてきたが、同テストの構成を、(1)記述式問題(当面は「国語」と「数学」のみ)(2)英語の多技能を評価する問題(3)多肢選択式を中心とする問題(各教科・科目)とする、としたため、これまでの共通テスト以上に学力を多面的・総合的に評価する新たな枠組みが提供され、複数回実施の議論のねらいが相当程度実現すると考えられると指摘。高校関係者等から授業への影響を懸念する声が上がっていたことや、複数回実施するテストの等化の検討などにも時間がかかることから、当面、年複数回実施を見送ることになった。  ただしCBTやIRTを活用しての複数回実施の可能性については引き続き検討する。また同テストでは「記述式」問題の導入が大きな柱となるが、作問については、設問で一定の条件を設定、それを踏まえ結論や結論に至るプロセス等を解答させる「条件付き記述式」(短文記述)を中心に行うこと、採点業務については効率的・安定的に実施するため、OCR(光学文字認識)の技術も活用し、答案をいくつかの観点別にクラスタリング(分類)するなどとしている。記述式問題の採点は、短文記述式、より文字数の多い記述式問題などの組み合わせなどで必要な日数は変わるが、その前後に必要な採点基準の確定、研修、成績提供準備等の期間を加えると、最短で20日間、最長で60日間係る試算(一日800人の採点者、受験者数最大53万人などを想定)も提示した。採点は民間事業者等の活用も想定。  一方、「高等学校基礎学力テスト」に関しては、教育関係者等からIRT導入で問題は非公開とされているが、テスト結果を指導改善にどう生かすのか、受験料に見合う結果などのフィードバックができるのかとの意見が出ており、3月中の最終まとめに向けてより具体的な仕組み等を検討・提示、来年度以降の準備・施行実施を目指す。


 

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