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記事2016年2月23日 3366号 (1面) 
高大接続会議、高校基礎学力テスト検討
診断、検査、検定といった名称に
高校等の試験問題収集へ

文部科学省の高大接続システム改革会議(座長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)は2月17日、同省内で第11回会議を開き、主に「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の在り方について審議を進めた。  この日、文科省は同テストについて、義務教育段階の学習内容も含めて高校生に求められる基礎学力の定着度合いを把握する仕組みとの性格をこれまで以上に強く打ち出しており、(1)生徒の基礎学力の習得と意欲の向上(2)学校での指導充実(3)設置者による高校の魅力づくりや質の確保のための体制強化や学校支援で、高校教育の質向上のPDCAサイクルを構築する方針。そうした位置付けから、名称については現在の「テスト」との表現を改め、「診断」「検査」「検定」等に改めていく方針を明らかにしている。またテストの対象者については、これまで通り「ボリュームゾーンとなる平均的な学力層や、底上げが必要な学力面で課題のある層」とし、学校単位でのテスト受検がない場合(テストは任意参加)、生徒の個人受検を担保する方針。さらにテストの実施時期等については、同会議が昨年9月の中間まとめで示した「高校2・3年次」を、テスト結果を学校の指導の工夫・充実に生かせるよう「主として高校1・2年次に受検することを前提に、高校3年次や過年度卒業生であっても受検できる」に改めた。具体的には学校または設置者の判断を優先させる方針。テスト結果の副次的利用については、本来の「学校による指導の工夫・充実等」の目的・趣旨を没却しない範囲で行うとしている。  試験問題の作成・収集等については、「アイテムバンク」(試験問題管理システム)を民間事業者等に委託して開設、各高校の定期考査問題、県教委等の実力テスト、高校入試問題等を収集、精査等を行った後にアイテムバンクに登録。併せて新作問題を作成する検討組織も立ち上げる。将来的にはCBT方式の採用を検討しているが、CBT実施方式は、原則、高校に整備されているモバイルやパソコン等を活用して、テストの実施主体から提供されるCDR等を使用してテストを行うインハウス方式を基本に検討を進める。高校が保有するパソコン等の台数から学校単位で同一問題・同一日時でテストを実施することは困難だとして、異なる問題での分割実施を示唆している。  会議の後半には「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の論点メモ案について前回会議の意見等を反映した改訂版が文科省から示され、新たに平成29年度初頭に「新テストの実施方針」を策定、公表、31年度初頭を目途に「実施大綱」を策定・公表するとのスケジュールが明らかにされた。  こうした方向性に私立中学高校長の委員からは、基礎テストについて、「全国的な視点で到達度が測れることは大いに意義がある。結果の公表では高校の序列化につながらないことが重要」と、また大学入学希望者学力評価テストに関しては、「結果で多くの大学に出願できるといい。できるだけ多くの国立大学はまずは(個別入試をせず)このテストで判断をして可能性を示してほしい」と語り、海外にも開かれたテストの制度設計の必要性を指摘した。

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