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記事2016年2月13日 2365号 (1面) 
文部科学省 中3生、高3生の英語力調査速報公表
中、高校生とも「話す」等に課題
英語嫌いの高校生、54・9%

文部科学省は2月2日、平成27年度「英語教育改善のための英語力調査」結果(速報)を公表した。この調査は、全国の国公立高校約500校の3年生約9万人、国公立中学校約600校の3年生約6万人を対象に英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)がバランスよく育成されているか、生徒の英語学習への関心・意欲はどうか等を調査したもの。高校に関しては26年度調査結果と比較した。中学校は初の調査。それによると高3生は「読む」では改善が見られたものの、依然として「書く」「話す」に課題があり、「英語の学習は好きではない」と答えた高校生が過半数の54・9%に上り、中3生についてもほぼ同様の結果だった。調査は昨年6月〜7月に実施した。


 (高校調査結果)  CEFR(=ヨーロッパ言語共通参照枠)AIレベル(英検で3〜5級相当)の人数が減少(「読むこと」75・3%68・0%)、A2レベル(英検準2級相当)以上が増加(「読むこと」24・7%32・0%)するなど改善も見られたが、「書くこと」では依然、無解答者が18・1%に上り、「話すこと」では得点ゼロの生徒が前年度の14・0%から18・5%に増えた。  英語学習に対する生徒の意識に関しては、「英語の学習が好きだ」と答えた生徒は「どちらかといえば、そう思う」も含め44・5%で、前年度の41・6%から微増したが、依然として英語嫌いの生徒が過半数であることに変わりはない。  現在の英語力と将来の英語使用のイメージについては、「海外旅行などをするときに、英語で日常的な会話をし、コミュニケーションを楽しめるようになりたい」が全体の35・6%で最も多く、次いで「特に学校の授業以外での利用を考えていない」(20・6%)、「大学入試に対応できる力をつけたい」(18・8%)が上位を占めた。  前年度と比べこれらの項目はそれぞれ微減、一方、「英語を使って、国際社会で活躍できるようになりたい」の解答は微増し11・2%となった。  英語担当教員に対する質問では、授業でスピーチやプレゼンテーションを行っている教員は34・8%で前年度と比べ6・8ポイント増えていたが、全体の3分の1程度どまりで、ディベートやディスカッションをしている教員の割合は10・6%に過ぎなかった。  (中学校調査結果)  中3生調査は、小学校時に外国語活動を経験した生徒。国の目標としているCEFRのA1上位相当レベル(英検3級程度)、達成率50%の実現状況を見ると、「読むこと」で26・1%、「聞くこと」で20・2%、「話すこと」で32・6%、「書くこと」で43・2%とばらつきが見られた。  中3生の英語学習に対する意識では、「英語の学習が好きではない」との解答が43・2%にも上っている。ただしテストのスコアが高い生徒ほど英語好きの生徒の割合は多く、将来の英語使用のイメージでもスコアの高い生徒ほど将来イメージが明確だった。  聞いたり読んだりしたことについて、英語で問答したり意見を述べ合ったりする活動をしていた生徒は全体の67・2%だった。こうした技能統合型の授業を行っているとした英語担当教員は全体の約3分の1程度で、文科省でも高校も含め、技能統合型の言語活動・指導が十分ではない、と指摘している。


 

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