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記事2016年12月23日 2395号 (1面) 
私学助成前年度比微増の4304億円に
平成29年度私学関係政府予算案閣議決定
給付型奨学金 私大学生等を対象に先行実施
私立小中学生 授業料軽減事業も創設

平成29年度文部科学関係予算案は平成28年12月22日に閣議決定された。このうち私学助成関係予算の総額は4303億6900万円で、前年度比2900万円の微増にとどまった。経常費補助は、私立大学等が前年度と同額、私立高等学校等は前年度比約13億円の増額を確保、私立学校の耐震化等促進予算は同約5億円増の約49億円となった。私学助成関係予算以外では、平成30年度から「給付型奨学金制度」の本格実施が決まり、それに先立ち29年度から私立大学等学生(自宅外通学)と社会的養護を必要とする学生等について先行実施することとなった。また、私立小学校・中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する5年計画の実証事業も決まった。


私学助成関係予算をさらに細かく見ると  「私立大学等経常費補助」は前年度同額の3152億5千万円。私大等の経常的経費に占める補助金の割合が平成27年度、初めて10%を割り込み9・9%となったこともあり増額が期待されたが、財政当局の壁は厚く、また給付型奨学金制度での私大生先行や税制面での支援(受託研究収入の実質非課税化)など、私学助成以外の支援策も含めトータルに査定されたようだ。同補助の一般補助分は2688億7300万円(前年度比0・5%減)、特別補助分は463億7700万円(同2・8%増)。  29年度概算要求で、私立大学等経常費補助の特別補助の中で新設を要望した「地域を支える私立大学等連携プラットフォーム形成支援事業」は、既存の「私立大学等改革総合支援事業」の中に含まれることになり、5番目のタイプとして5〜10程度のグループが選定される見通し。28年度予算ではタイプ1「教育の質的転換」、タイプ2「地域発展」、タイプ3「産業界・他大学等との連携」、タイプ4「グローバル化」があったが、29年度はタイプ5を含め28年度と同程度の延べ870校程度が選定される見通しで、これら事業等で地方の私立大学等の積極的改革を支援していく。  また同特別補助の中の「私立大学研究ブランディング事業」は28年度の初年度から強い引き合いがあったことから、29年度は選定校数を10〜20校増やし50〜60校程度とする見通し。  一方、「私立高等学校等経常費助成費等補助」は1036億4600万円で、前年度比約13億円(1・3%)の増額。  このうち一般補助は約878億9800万円、特別補助は約130億3700万円、特定教育方法支援事業が約27億1200万円。一般補助の生徒等一人当たり単価は前年度比0・9%の増額。特別補助は前年度比約6億円の増額だが、増額分のうち約3億円が私立高校等のグローバル人材や情報活用能力の育成などに充てられ、また残る約3億円が障害のある幼児の受け入れ等に充てられる予定。  「私立学校施設・設備の整備の推進事業」は前年度比2億2800万円減の102億1300万円。減額分は私立学校施設高度化推進事業(利子助成)の減額約3億円が影響した。このうち私立学校の耐震化等促進事業が49億4300万円で、前年度比5億円弱の増額。耐震改築(建替え)事業については28年度までの時限措置となっていたが、さらに2年延長して30年度まで事業を継続する。文科省は30年度でも私立学校の耐震化完了は難しいと考えており、耐震化が完了していない学校については今後、個別に相談、耐震化を促していく方針。  「私立大学等教育研究活性化設備整備事業」は同10億4千万円減の12億6千万円。  私学助成関係予算以外では、給付型奨学金制度が創設され、独立行政法人日本学生支援機構に70億円の基金が設けられ、29年度は特に経済的に厳しい状況の私立大学等の学生(自宅外通学)約2200人、社会的養護を必要とする学生等約600人の計約2800人を対象に先行実施する。必要な予算額は15億円弱で70億円の基金から支出する。  私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援については平成29年度から5年間の実証事業として創設された。概算要求時と比べ支援額は、年額10〜14万円から一律10万円になり、支援を受けられる年収も概算要求時の590万円以下から400万円未満に引き下げられたが、小学校1年生から中学校3年生まで同時に実施されることになった(概算要求では29年度は小学校、中学校とも1年生のみ、学年進行で実施だった)。支援額等が引き下げられたとはいえ、支援の谷間となっていた私立小、中学生に対する授業料支援が実施されるのは画期的なこと。この実証事業では授業料負担軽減補助を行いつつ、義務教育段階で私立学校を選択している理由や家庭の経済状況等について実態把握のための調査を行う。  日本私学教育研究所に対する補助金は前年度同額の1985万4千円。

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