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記事2016年12月13日 2349号 (1面) 
自民党教育再生実行本部が「第7次提言」公表
教育財源 将来的には消費税を中核に
教育への寄付に国は顕彰手厚く

自由民主党の教育再生実行本部(本部長=櫻田義孝・衆議院議員)は11月30日、「第7次提言」を取りまとめ公表した。同本部の下に設置された四つの部会がそれぞれ協議してきた提言や中間報告を収録したもので、このうち「格差克服のための教育財源検討部会」(主査=左藤章・衆議院議員)の中間取りまとめでは、改めて教育投資は成長戦略、格差対策、少子化対策であることを強調、公的にも収益が大きいこと、教育財源としては将来的には消費税を中核としつつも無利子の教育国債(仮称)も検討する必要があり、教育に対する寄附に対して国は顕彰する各種制度をより手厚くする必要性等を提言。また、「成長戦略のための人材教育部会」(主査=山谷えり子・参議院議員)の中間取りまとめでは、イノベーション人材育成とそれを可能にするプラットフォームづくりのため、専門職大学院制度の見直し、修士課程等の専門職学位課程への移行促進、大学改革実現の基盤としての強固なガバナンスの確立が不可欠なことなどを提言、さらに今後、深掘りしていくとしている。  このほか、「次世代の学校指導体制実現部会」(主査=馳浩・衆議院議員)の提言は、公立義務教育を主とした内容だが、教師の「働き方改革」を実現するためにも義務標準法の改正による加配の基礎定数化が必要とし、地方自治体が見通しを持って教師の任免・研修・配置を計画的に進め、教師の質を継続的に高めるためには、次世代の学校指導体制を実現に向けた10年程度を見通した計画の策定こそが必要と強調している。  また、「学校・家庭・地域の教育力部会」(主査=福井照・衆議院議員)の中間取りまとめでは、子供たちをともに見守り、ともに育む社会の構築を目指して、社会総掛りで貧困の連鎖を断ち切るためにも教育と福祉部局との連携強化、学校をプラットフォームとして機能させていくこと、そのため個人情報の取り扱いの在り方についての検討を行い、スクールソーシャルワーカーの配置を充実、全小学校区で放課後子供教室を推進、学習が遅れがちな中高生等に対する原則無料の学習支援(地域未来塾)を平成31年度末までに5千中学校区(全体の半数)で実施、高校生への支援を全国展開する、としている。  前述の「教育投資は公的にも収益が大きい」との記載に関しては、国立教育政策研究所の資料を添付し、大卒者一人当たりの税収額が1273万1778円なのに対して高卒者は665万7415円で600万円余の税収増がもたらされること(65歳までの所得・住民・消費税額を推計、失業リスクを考慮、現在価値への割引済み)、失業給付に関しては大卒者1人当たりの給付額が9609円なのに対して、高卒者は1万8226円(雇用保険の失業給付額を学歴別人口当たりに換算)で、大卒で一人当たり8617円の給付抑制が期待されること、犯罪抑制関係では大卒者1人当たり犯罪費用が700円なのに対して、高卒者は2188円で大卒の場合、1人たり1488円(刑務所収容関係費用を学歴別人口当たりに換算)の抑制効果があることなどを説明している。

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