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記事2016年11月13日 2391号 (1面) 
私立大学等の振興に関する検討会議開催
私学事業団の役割でさまざまな意見
一歩踏み込んだ関与求める声も

文部科学省の「私立大学等の振興に関する検討会議」(座長=黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長)は、11月10日、都内で9回目の会議を開き、文科省から私立大学等の経営の強化・改善促進に向けた補助事業の概要を、また日本私立学校振興・共済事業団からは実施している経営支援策等を聴取、学校法人の経営の強化および改善をどう実現するかについて意見交換した。  文科省の補助事業については、淵上孝・私学部私学助成課長が、「私立大学等改革総合支援事業」では地域発展、産業界・他大学との連携、グローバル化、教育の質的転換等を支援、「私立大学研究ブランディング事業」では地域で輝く大学等、経済・社会の発展に寄与する大学等を支援、「私立大学等経営強化集中支援事業」ではガバナンス改革を進めていることなどを、さらに29年度からは「地域を支える私立大学等連携プラットフォーム形成支援事業」を立ち上げる予定等を説明した。  次いで私学事業団は改革に向けた意欲形成等を目的に経営相談や私学リーダーズミナー、私学スタッフセミナーを、地方の小規模法人や経営の厳しい法人を優先して実施していることなどを報告、成果が上がりつつあるとしたが、その一方で収集した情報や調査・研究の成果の提供その他指導については、学校法人側から要望があった場合に行う規定(同事業団法第23条)となっていること、経営相談や各種セミナーに問題法人等の参加を促す仕掛けや新たな階層(IR担当者、中間管理職等)を対象にしたセミナーの検討、大学ポートレートの経営相談への活用等が課題だと指摘した。  その後、再び文科省から学校法人運営調査委員制度や、私立大学等の経営支援・経営困難対応に関するこれまでの主な提言が説明された。  こうした説明を受けて委員からは、「私学事業団法の23条は足枷になっていないのか」との質問があり、事業団の河田悌一理事長(同会議委員)は「私学の自主性担保のために事業団が設立され、監督官庁ではなく、あくまで私学の自己責任で行われているが、ダメな場合はダメとはっきり申し上げている」と現状等を説明したが、委員からは私学全体の信頼に関わる問題なのでもう少し(踏み込んだ対応を)検討すべきだ」といった指摘や、「今の枠内で人員増を行い、経営相談の改善・充実を図るべきだ」「文科省、事業団はもう少し(問題法人等に)介入してもいい。破綻の場合、学生をどう引き取るか地域内で大学間協定を早急に作るべきだ。まさかの時のための引当金も必要」といった意見、さらに問題法人が明らかになった場合、私大団体が一定の役割を果たすべきだ」「(私大の)自主独立を尊重するが、最後には私学全体を守ることが大切」「事業団、文科省、認証団体間の連携も必要」といった意見が聞かれた。このほか「多様な高等教育機関を育てるという観点も必要。私大の経営困難な状況は私大だけのせいではない。(国公私間の)公正な競争条件が重要」といった意見が聞かれた。

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