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記事2016年10月3日 2387号 (1面) 
学校法人のガバナンス強化推進
私立大学等の振興に関する検討会議開催
外部理事の活用促進や評議員会機能強化
情報公開の在り方も議論

文部科学省の「私立大学等の振興に関する検討会議」(黒田壽二座長=金沢工業大学学園長・総長)は9月26日、都内で第7回会議を開き、私立大学等のガバナンス強化に向けて、(1)理事・理事会制度(2)評議員・評議員制度(3)監事制度等(4)一層の情報公開等の推進の4点に絞った議論を行った。


私立学校のガバナンスに関しては、平成16年に理事、監事、評議員会制度の改正等を、同26年には理事の忠実義務規定の明確化等を主旨とする私立学校法の一部改正が行われているが、今回の検討会議では、その後の時代の進展に合わせて、社会福祉法人等が進めている組織運営のガバナンス強化、事業運営の透明性の向上等の制度改革(平成29年度施行)等を参考に学校法人のガバナンス強化を進めるため、具体策を検討しているもの。  これまでに出された論点(詳細は2面に)としては、理事会機能の実質化・理事会運営の活性化、外部理事の一層の活用、評議員会の機能強化・外部性強化、監事機能の強化、補助金の受給に関わらず学校法人での会計監査人の設置義務化、情報公開等を進める観点から定款(寄附行為)、役員名簿、役員報酬基準等を閲覧・公表する対象とすることや閲覧請求者を現行の利害関係人から国民一般に拡大することなどが挙げられている。大学のガバナンスの在り方に関しては、同会議の下にワーキンググループを新たに設けて集中的に検討することも決めた。委員は黒田座長が指名する。  同会議の委員は21人。大学法人等の理事長の他、学識経験者、公認会計士、弁護士、企業関係者らが参加しており、9月26日の会議では、企業関係者から「他の組織でうまくいっているものは取り入れるべきで、ピアレビューの世界から脱してほしい。理事会が執行と監督の両方を行うのは難しい。評議員会がかなりの部分について議決して理事会が執行していく姿にすべきだ。企業では監査役制度が一番大きく変わった。監事は常置機関として事務局も必要だ」といった意見や、また公認会計士からは、「理事会と理事の違いをきちんと整理すべきで、理事会は理事の執行状況を監督する立場。理事と評議員との兼任は一考が必要。評議員の責任を明確にすべきだ。財政的に難しいということもあるが、原則、1人以上の常勤の監事を置くべきだ」といった意見が聞かれた。  一方、私学関係者からは、「教職員が評議員となった場合、理事会に反論するのは難しい。他の学校の人に評議員になってもらうことはあり得る」「地域のステークホルダーに意見を聞くことは大事だが、高等教育の認識が十分ではない人には何らかの形で高等教育全体について伝えることが大事」「評議員会で全て議決するには無理がある。最終的判断は理事会で」「監事の機能強化ではテーマを決めて監査を行っていくことも考えられる」「監事は(理事会の)決定が妥当かどうかを判断すべきだ。細かな数字は公認会計士が見る」といった意見が聞かれた。また、私学法改正の場合、私立高校等の知事所轄法人も同じようにガバナンス強化が適用されることを懸念、その場合、準学校法人についても議論を参考に改革を図るべきだといった意見、私学の情報公開については努力が不足しているものの私学を育てる意味での改革を要請する意見も聞かれた。  大学教授ら学識経験者からは「監事の業務はコンプライアンスや安全性についてで、カリキュラムの中身についてではない」「教授会については何の議論もないが、それでいいのか」といった意見が出された。  今後、検討会議は月に一回程度のペースで開催される予定。次回は10月24日。

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