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記事2016年10月13日 2388号 (1面) 
教育再生実行会議 再始動へ
学校、家庭、地域の役割分担を明確化
子供たちの自己肯定感向上策検討

今年5月20日の第9次提言以降、休止を続けていた政府の教育再生実行会議は今後、(1)「学校・家庭・地域の役割分担と教育力の充実」、(2)「子供たちの自己肯定感が低い現状を改善するための環境づくり」の2テーマについて検討を進めることになった。このほか過去9次の提言の確実な実行に向けて継続的フォローアップも進める。同会議の座長は引き続き鎌田薫・早稲田大学総長が務める予定。委員は18人。このうち(2)の自己肯定感が諸外国と比べ低い問題に関しては、現状分析、専門的・多角的検討を深めるため、本体会議の下に新たに本体会議の有識者と各分野の専門家からなる「教育再生実行会議専門調査会(仮称)」を設置する予定。同会議は平成30年度の概算要求に間に合うタイミングで1回目の提言をまとめる見通し。また、同会議に合わせて文部科学省内にも田野瀬太道大臣政務官の下に「我が国の子供の意識に関するタスクフォース」を設置、年内を目途に分析結果等をまとめ、同会議の議論につなげていく予定。


このうち(1)のテーマに関しては、いじめ、不登校、子供の貧困、障害のある児童生徒、外国人児童生徒の増加、保護者への対応など、年々複雑化・困難化する課題を抱える教育現場は教師の長時間労働によって支えられている面が大きいとして、こうした状況を改善し、教育を持続的に発展させるためには、学校・家庭・地域が担うべき役割を明確化するとともに、家庭・地域の教育力の向上について検討するもの。学校と保護者や地域社会との意見の違いは役割分担の意識の共有ができていないことが一番大きな原因としている。  また、教師の長時間労働の是正の在り方、学校が教育指導に優先的に取り組めるようにするための学校のサポート体制の在り方についても検討する。  (2)のテーマに関しては、子供たちの自己肯定感が諸外国に比べて低い現状の分析と改善、子供たちが自信を持って成長し、より良い社会の担い手となるための環境づくりについて検討する。文科省は今後、積極的にグローバル対応やアクティブ・ラーニングなどの主体的な学びを推進するが、自己肯定感が低く、自分に自信がない中で、主体的な学びなどを実現するのは簡単ではないとして、子供たちが自分の価値を認識し積極的に挑戦、かつ、他者の価値も尊重することができるよう、改善方策等を検討。また、子供たちがより良い社会の担い手となるための環境づくりについても検討する。子供たちの低い自己肯定感の改善については学校だけで解決できる課題ではないので、家庭、地域社会も一定の役割を果たすことになりそうだ。  新設予定の「教育再生実行会議専門調査会(仮称)有識者(内定)は次の各氏。  【教育再生実行会議本体会議から】鎌田薫・早稲田大学総長佃和夫・三菱重工業株式会社相談役漆紫穂子・品川女子学院校長倉田哲郎・箕面市長河野達信・防府市立華城小学校教頭、前全日本教職員連盟委員長三幣貞夫・南房総市教育長山口香・筑波大学准教授、東京都教育委員会委員、元女子柔道日本代表(以上7人)  【新たな有識者】石戸奈々子・NPO法人CANVAS理事長伊藤美奈子・奈良女子大学教授今村久美・NPO法人カタリバ代表理事齋藤航・千葉県立泉高校教諭坂元章・お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授鈴木みゆき・和洋女子大学教授(以上6人)  教育再生実行会議本体会議のそのほかの有識者は次の各氏(11人)。大竹美喜・アフラック創業者尾〓正直・高知県知事加戸守行・前愛媛県知事蒲島郁夫・熊本県知事川合眞紀・自然科学研究機構分子科学研究所長、東京大学特任教授佐々木喜一・成喜コミュニティグループ代表鈴木高弘・専修大学附属高校理事・前校長、NPO法人老楽塾理事長武田美保・スポーツ/教育コメンテーター向井千秋・東京理科大学特任副学長、日本学術会議副会長八木秀次・麗澤大学教授山内昌之・東京大学名誉教授、明治大学特任教授

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