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記事2016年1月13日 2362号 (1面) 
教育費負担軽減広がる 文部科学省平成28年度予算案
高校生等奨学給付金を充実
大学生等 無利子奨学金事業増額

安倍政権の掲げる「一億総活躍社会の実現」は、政府の平成27年度補正予算案、平成28年度予算案に数多くの関連事業が盛り込まれている。わが国が直面している少子高齢化に真正面から取り組み、希望を生み出す強い経済、夢をつむぐ子育て支援、安心につながる社会保障の新3本の矢を実現して若者も高齢者も難病を抱える人も障害のある人も、また一度失敗の経験のある人なども含め国民一人一人が生きがいをもって輝き、また50年後も一億人の人口を維持するとの計画だ。


このうち平成28年度政府予算案では、夢をつむぐ子育て支援として、教育費の負担軽減、児童扶養手当の機能の充実、キャリアアップ助成金の拡充、ニート・フリーター等の就労・雇用安定化支援、保育人材の確保・育成、ひとり親家庭・多子世帯への支援等に取り組むとしている。  なかでも出生率に大きな影響力をもつという教育費については負担軽減に向けてさまざまな学校種で施策が講じられている。文部科学省の高等学校等就学支援金については3679億7300万円の予算が計上されている。年額11万8800円を支給、私立高校に通う低所得、中所得世帯の生徒等については所得に応じて5万9400円〜17万8200円を加算して支給されている。なお公立高校と私立高校の授業料等の負担格差は残っているが、私立高校に進学する人が増加している。  また高校生等奨学給付金(文科省)については、生活保護世帯や非課税世帯といった低所得世帯の高校生等を対象に教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、入学学用品費等への使用を想定して支給されている給付金だが、平成28年度予算では、131億2700万円の予算が計上されている。28年度に1年生から3年生までが対象となったことや、非課税世帯で全日制等の私立高校に通う第1子の支給額を現行の3万9800円から6万7200円に増やしたことから予算額は65・6%の伸びとなった。  また大学等の奨学金事業(文科省)に関しては経済的理由で進学を断念し、貧困の連鎖を断ち切るべく、有利子から無利子への流れを加速、無利子奨学金の事業規模を前年度と比べて97億6700万円増の3222億4900万円としている。  有利子奨学金の事業規模は28年度で7685億5100万円、前年度比280億2700万円の減額となっている。  専門学校生に関しては、効果的な経済支援の在り方に関する実証研究事業を平成27年度に続いて実施する。28年度の予算額は同額。この事業は29年度までの事業で、意欲と能力のある専門学校生が経済的理由で進学を断念しないよう実証的な研究を行うもの。  28年度には、有識者による検討会を設け、就学支援や経済的支援に係る効果の検証、今後の方向性の検討を行う。  修学支援アドバイザーの配置による支援、専門学校生への経済的支援、基礎データの収集については、都道府県に業務を委託して進める。また外部機関に委託して経済的支援の有無による授業料等や中途退学率の変化の分析などの実態調査を行うことにしている。  また学校教育になじめずフリースクール等で学ぶ不登校児童生徒については、児童生徒の状況に応じた総合的な教育支援体制を構築するためのモデル事業を通じて、不登校児童生徒が自信を持って学べる教育環境を整備する。これは平成27年度補正予算案に盛り込まれた事業で予算額は6億4000万円。12都道府県でモデル事業等を実施する予定(実施主体は市町村等)で、フリースクール等で学ぶ経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒の学習活動等に必要な経費(体験活動費など)を支援、支援員による学習・進路指導の実施、教育支援センターの設置も促進する。

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