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記事2015年9月3日 2350号 (1面) 
高大接続システム改革会議
審議の中間報告≠ワとめる
二つの新テスト導入へ 高校での多面的評価を研究へ

 文部科学省の「高大接続システム改革会議(座長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)は8月27日、同省内で第6回会議を開き、中間まとめを完成させた。平成31年度から実施予定の「高校基礎学力テスト(仮称)」、大学入試センター試験に代わって32年度実施予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」という二つの新テストの実施方法をはじめ、大学入学者選抜や高校・大学教育の改革について、具体的方策を示している。

 文部科学省は1月、高等学校教育・大学教育・大学入学者選抜の一体的改革の実行計画である「高大接続改革実行プラン」を公表。それを受けてこの会議は設置され、プランの実行方法について審議を重ねてきた。

 中間まとめは、高校教育改革、大学教育改革、大学入学者選抜改革で構成されている。このうち高校教育改革に関しては、「高校基礎学力テスト(仮称)」に重点を置く。高校生が身に付けるべき基礎学力の定着度を把握し、育成することを目的とした試験で、希望参加で実施。学校単位での参加が基本だが、生徒個人の希望による受験も可能とする、としている。31年度の導入当初は「国語」「数学」「英語」の3教科のみ実施。次期学習指導要領が実施される段階で「地理歴史」「公民」「理科」等を追加導入する、としている。高校2、3年生が年2回受検できるようにするが、必要に応じて学年や回数を見直していく。評価は10段階以上の多段階評価で本人に提供するが、相対評価ではなく各生徒の絶対評価のための試験であり、順位や平均点等は示さない。34年度までは試行期間と位置付け、その間は大学入学者選抜や就職には用いないとしている。

 大学教育改革に関しては、ディプロマ(学位授与)、カリキュラム(教育課程編成・実施)、アドミッション(入学者受け入れ)の三つのポリシーの策定を重視。国に対して、3ポリシー策定および運用に関するガイドラインを策定することを望むとともに、大学には3ポリシーに基づく教学マネジメントの確立を求めている。策定の義務化の検討にも触れている。大学入学者選抜改革については、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入が大きい。従来の試験は主に「知識・技能」を評価してきたこの新テストは「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する。これにより、大学入学に向けた学びを能動的なものへと変革させ、さらに大学はそうした学びを一層発展させる、としている。導入は32年度だが、次期指導要領で学ぶ生徒が3年生になる36年度にまた枠組みを改める。

 委員からは「新テストはできれば前倒しで導入すべきだ」「作問にかかるコストがどれくらいか分からないことが不安」「ここでの議論と関連する議論が他の会議で進んでいるはず。配慮が必要でないか」等の意見も出たが、これらは最終まとめに向けての今後の課題とされ、中間まとめについては座長一任とされた。

 この日は他に、「多面的な評価ワーキンググループ」の設置が議題となり、近く新設することを決めた。高校における多様な学習活動や学習成果を適切に評価するための具体的な方策の在り方を適切に評価するための検討を行う。



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