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記事2015年9月23日 2352号 (2面) 
超党派でフリースクール等法案£出へ
フリースクールや自宅での学習等も
一定の要件付した上で就学義務の履行に

 「超党派フリースクール等議員連盟」(河村建夫会長、馳浩幹事長=いずれも衆議院議員)が議員立法での成立を目指している「義務教育の段階に相当する普通教育の多様な機会の確保に関する法律案」が9月15日、自由民主党の文部科学部会の法案審査にかけられた。

 法案の基本理念や教育を受けられずにいる子供への支援の必要性について異論は聞かれず、積極的推進を求めた議員がいた一方で、憲法が規定するほど重い就学義務に特例を設けることへの懸念や、適応指導教室の充実こそが先決とする意見、学校等の助言等を受けるにせよ保護者が個別学習計画を作成することへの疑問、特定の考えに偏った教育や営利主義の蔓延(はびこ)りを懸念する意見など課題を指摘する意見が複数聞かれ、最終的には、さらに議論を深めることになった。

 この法案は、学校教育に適応できず、義務教育段階に相当する普通教育を十分に受けていない者等を対象に当該普通教育の多様な機会確保を総合的に推進することを目的にしており、国や地方公共団体の責務や財政上の措置等について規定するもの。最大の特徴は、相当の期間、学校を欠席している学齢児童生徒で、特別な事情を有するため就学困難な子供について、保護者が個別学習計画を作成し、市町村教育委員会の認定を受けた場合、自宅やフリースクール等での学習でも就学義務を果たしたことになる(市町村教育委員会の修了認定が必要)学校教育法等の特例を設けること。

 現在、小・中学校に通っている約1千万人の子供のうち、10〜12万人が不登校状態(欠席が年間30日以上180日未満)で、また年間180日以上学校を欠席して学校にほとんど通っていない子供が1〜2万人おり、このうち4千人程度がフリースクールに通っている。既に学校教員による学校への復帰の働き掛けや、行政による適応指導教室等の取り組みが行われているが、同法案では学校に通うことが全てではなく、多様な学びが法律で保障されており、登校しないことによる罪悪感や自己否定感をなくすことにもポイントが置かれており、またフリースクール等に子供が通っている保護者に経済的な支援を行うことも重点の一つ。

 次いで9月17日には文部科学部会で再びこの法案が検討された。

 この日は、フリースクール関係者や夜間中学校関係者からのヒアリング等が行われた。それに先立って文部科学省から同省が実施したフリースクールの実態調査結果や夜間中学校の実態調査結果が報告された。夜間中学校については同省も全国に設置を拡大する方針。在籍者の約8割は外国籍の生徒で、夜間中学校の設置拡大に関しては議員から法案の立て付け≠煌ワめ異論は聞かれなかった。

 一方、この日、意見表明したフリースクール関係者は、「学校外の学びもあり得るということが児童生徒の自己肯定感につながる」、「学校外の学びを認めることが親子の自己受容につながる」「自責の念を大きく軽減する」などと語り、法案の早期成立を要請した。出席の議員からは、フリースクールでの学びが子供たちにとって適しているかを判断できるよう環境規定(設置基準)や責任者については教員免許を持っている必要性など責任体制の明確化の必要性が指摘された。同法案に関しては引き続き、市町村教育委員会等からの意見聴取を行い、さらに法案の検討を進めることにしている。同法案が文部科学部会で了承された場合、早ければ今年の臨時国会にも提出される見通し。同法案を中心となって進めている馳議員は同部会の納得が得られるよう引き続き、同法案の検討を進めていく方針。



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