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記事2015年9月23日 2352号 (1面) 
喫煙飲酒年齢制限引き下げ断固反対
自由民主党文部科学部会・厚生労働部会
中高連、日本医師会などから意見聴取
教育現場の混乱健康への悪影響弊害は甚大

 自由民主党の成年年齢に関する特命委員会(今津寛委員長=衆議院議員)で、飲酒・喫煙の18歳解禁が議論されてきたことを受けて、同党の文部科学部会(冨岡勉部会長=衆議院議員)と厚生労働部会(鳥修一部会長=衆議院議員)は9月17日、党本部で合同部会を開き、18歳解禁問題について厚生労働省健康局、日本医師会の今村聡副会長、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長から意見聴取を行った上で、喫煙・飲酒の年齢制限の引き下げについては断固反対するとの「意見」=別掲=を取りまとめた。




 この問題は、国民投票の投票権を有する者の年齢、選挙権を有する者の年齢が18歳以上に引き下げられたことを踏まえて、民法、少年法その他の法律の規定における成年年齢の在り方について、同特命委員会が中心となって検討しているもの。

 9月初めの案では、喫煙・飲酒解禁年齢を18歳に引き下げることについては妥当との判断を示していたが、9月10日に開かれた同特命委員会・関係部会合同会議では、健康被害等から解禁年齢の引き下げについて慎重な意見が相次ぎ、結局、賛否両論を併記した上で、引き続き慎重な検討を加え、実施時期も踏まえて民法改正時までに結論を得るとの方針となった。

 文部科学、厚生労働の両部会は今後の検討の本格化に備えて、17日に議論を行ったもので、厚生労働省は健康への悪影響(別掲図表参照)や、世論調査結果等を示して、「喫煙・飲酒の年齢制限引き下げについては慎重であるべき」と指摘。

 また日本医師会でも未成年の飲酒が身体的、精神的、社会的に及ぼす影響や主要疾患死亡におけるたばこの影響度等を説明し、年齢制限引き下げについて反対の考えを示した。

 さらに中高連の吉田会長も茶髪をめぐる裁判結果等を挙げて学校現場の混乱や子供たちの健康保持の重要性を指摘、保護者も含めて年齢制限引き下げについて絶対反対の考えを伝えた。

 この日出席の議員からは、「なぜこうしたばかげた議論をしなくてはいけないのか」「たばこが健康に害ということははっきりしている」「社会的不安を増大させる要因になる」「校則(による規制)が法律に勝つわけがない。学校が裁判、訴訟社会に巻き込まれる」といった意見が相次いだ。最後に喫煙・飲酒の年齢制限の引き下げに対する反対意見を決議した。

 現行の満20歳以上(未満)を要件とする法律に関しては、法務省で少年法も含め刑事政策上必要な措置を講じるための法制的検討が行われる見通しで、民法に関しては社会的影響度や、教育面の対応等を踏まえて、少なくとも3年程度の周知期間、必要な経過措置を設けた上で民法の成年年齢について20歳から18歳に引き下げる法制度上の措置が講じられる予定。このほか満18歳以上(未満)への引き下げに関しては、猟銃の所持、銃を使用する狩猟免許、国民年金の支払い義務、道路交通法上の中型免許および大型免許等への適用が検討される見通し。
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