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記事2015年7月3日 2345号 (1面) 
イノベーションの創出で国立大に大きな役割期待
骨太の方針、成長戦略等決める
経済成長の源泉は「人」  社会人の学び直しも推進

 政府は6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる骨太の方針)、「日本再興戦略改訂2015―未来への投資・生産性革命―」、「規制改革実施計画」、「まち・ひと・仕事創生基本方針2015」等を閣議決定した。このうちうち骨太の方針は、来年度政府予算編成の基礎となるもの。再興戦略改訂2015はアベノミクス第2ステージの成長戦略で、イノベーション創出で国立大学に大きな役割を期待しており、また変革の時代に備え人材力強化へ雇用と教育の一体的改革等も進める方針だ。




 骨太の方針2015では、経済の好循環の拡大と中長期の発展に向けたさまざまな重点課題を掲げているが、教育に関しては、経済成長の源泉は「人」であり、人材育成は極めて重要な先行投資だとし、幼児教育の無償化に向けた取り組みを段階的に進め、また無利子奨学金の充実や授業料等負担の軽減、アクティブ・ラーニングの促進、教員の指導力の強化、大学の徹底した国際化、高校教育・大学教育・入学者選抜を通じた高大接続改革、成績評価・卒業認定の厳格化等の推進、職業教育や社会人の学び直しの推進等を進める方針。

 同時に、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針の下、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行する考えを示しており、2020年度(平成32年度)の財政健全化目標(=国と地方を合わせた基礎的財政収支の黒字化)を引き続き堅持、2016年度から3年間を集中改革期間と位置づけ、改革を進め、計画の中間時点(2018年度)では基礎的財政収支の赤字の対GDP比▲1%程度を目安とする方針。

 また再興戦略改訂2015では、国立大学に関して人文社会から自然科学まで多様かつ重要な学問分野の継承・発展を基礎としつつ、新領域や融合分野など新たな価値を生み出す学問領域を創出し、地域・日本・世界が直面する経済社会の課題解決に貢献していく必要がある、としており運営費交付金の重点配分導入で大学間の競争を促進する考え。加えて国際的イノベーション・ベンチャー創出拠点の形成に向け、一般の国立大学に比べて高い自由度を有する収益事業等により自己収入拡大を行うことのできる「特定研究大学(仮称)」制度を創設し、国際的に競争力ある国立大学を作り出すとしている。来年の通常国会に必要な法案を提出する。

 さらに人材力強化では、個人が歩むべきキャリアパス(将来目指す職業・職務の実現に向けて積んでいく職務経験等の道筋)とそのため身に付けるべき能力を確認する機会として「セルフ・キャリアドック(仮称)」を整備、学び直しを提供する場として、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化で、職業人としてのプロの育成を促していく。

 規制改革実施計画に関しては、健康・医療、雇用、農業等を取り上げており、学校教育そのものについての言及はない。

 ただし投資促進等に関しては、理美容サービスの利用者ニーズに応える規制の見直しを複数取り上げており、理容所及び美容所の衛生上必要な要件を満たし、かつ理容師及び美容師両方の資格を有する者のみからなる事業所については平成28年度から重複開設を認め、制度改正5年後を目途にその効果を見極めつつ、見直しについて検討を行うとしている。そのほか日本語教育機関の開設条件の緩和について、平成27年度中に検討・結論を得るとしている。

 まち・ひと・しごと創生基本方針2015では、平成27年度から実施している地(知)の拠点大学による地方創生推進事業により若者層の地元定着を引き続き促進、また地域活性化に貢献する私立大学等の取り組みへの支援を継続、大学生等の地元定着の促進、大学や高専、専門学校、専門高校等における、地元の地方公共団体や企業等と連携した取り組みを強化する、としている。
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