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記事2015年5月23日 2341号 (1面) 
自民党・教育再生実行本部が第4次提言
教師の実務専門スタッフと分業を
年収500万円以上の世帯大学進学率5年で1.5倍に

 政府の教育再生実行会議に対して、政権与党の立場から日本を建て直す教育改革論議を進めている、自由民主党の教育再生実行本部(本部長=遠藤利明・衆議院議員)は5月12日、「第4次提言」をまとめ、公表した。

 今回の提言は、同本部に設けられている部会のうち、「チーム学校部会」(主査=福井照・衆議院議員)と「高等教育部会」(主査=松野博一・衆議院議員)の審議内容を第4次提言としてまとめたもの。

 提言は、教師が子供と向き合う時間を大幅に増やすべく人事・予算等の校長の裁量権強化や学校の経営企画機能の飛躍的強化、教師の抱える実務を専門スタッフと分業する、有為な人材を学校に呼び込むため教師の国家免許化、人材確保法の初心に立ち返った処遇の確保、教師育成指標の策定、教師採用試験の共通化、コミュニティー・スクール化の加速等を提言。

 一方、高等教育に関しては、わが国の大学進学率(2012年、52%)をOECD(経済協力開発機構)の平均(同年、58%)並みに高めるため、8割近い学生が学ぶ私立大学について、年収500万円以下の世帯や多子世帯からの入学者の授業料負担を国立大学と同等にすることなどを求めている。年収500万円以下の世帯に属する大学入学者数を5年で1・5倍に増大させる。トップ層に対する重点的な英語教育やエリート教育の抜本的充実、学生個人の学修成果(成績や学修履歴等)の適正な評価推進等を求めている。

 安倍晋三総裁の直属の機関として自民党が野党時代の平成24年10月に設けられた同本部は、自民党が与党に復帰後の平成25年1月、第2期教育再生実行本部となり、同年4月「成長戦略に資するグローバル人材育成部会提言」を、同年5月には平成の学制大改革等を柱とする第2次提言を、平成26年4月には教育再生推進法(仮称)の制定に向けてその骨格を示した「第3次提言」を、同年8月には、教育投資・財源特別部会の「中間取りまとめ」を公表するなどしてきた。

◇ また、同実行本部は、今年5月19日、教育投資・財源特別部会(主査=塩谷立・衆議院議員)の提言をまとめている。

 同特別部会は、短期的および中・長期的な視点から教育再生を実現するために必要な教育投資とそのための財源の在り方について提言したもの。

 世界に冠たる質の高い教育を、意欲と能力のある国民全てが受けられる社会を実現するため、教育投資の抜本拡充が必要と指摘。「教育と財源の一体改革」の実現という考えから、所得課税における各種控除の見直しや教育目的税の導入、将来的には消費税の見直しを検討する際には、教育をその使途として明確に位置付け、国民全体で広く負担することで財源を確保することを提言。

 その上で当面は、幼児教育の質の向上・無償化の実現と高等教育段階の教育費負担軽減を優先させるとしている。
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