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記事2015年4月13日 2337号 (1面) 
文部科学省国公立高3生を対象に初の英語4技能力調査
大半の生徒の実力、中学校レベル
書く力 4割強が白紙回答含め得点ゼロ

 文部科学省は、3月17日、同省内で開いた「第2回英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」の中で、国公立高校3年生約7万人(約480校)を対象に、昨年夏、英語の4技能(聞く・話す・読む・書く)の実力や英語の学習状況等を調査した結果速報を明らかにした(本紙3月23日号1面で一部既報)。

 この調査は政府の第2期教育振興基本計画(平成25〜29年度)に盛り込まれた、グローバル人材育成に向けて外部検定試験を活用した生徒の英語力の把握・検証などによる戦略的な英語教育改善の取り組み支援、成果指標として設定された高3生の英語力目標(卒業時に英検準2級〜2級程度以上)に合わせ、バランスよく4技能が育成されているかの観点から実施したもの。国による大規模な4技能型試験の初めてのフィージビリティー(実現可能性)調査。

 同速報によると、英語の、読む力、聞く力に関しては多肢選択式問題(各約45分、25分)で、書く力に関しては自由記述式問題(約25分)で、話す力に関しては音読、即興での質疑応答、ある程度準備した上での意見陳述について評価基準を設け教員が面接を実施(約10分)で測定した。生徒の英語力については、世界標準のCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を用い、最も基礎段階のA1からA2、B1、B2、C1、最高のC2レベルまでで判定した。

 その結果、読む力は受験者の72・7%がA1、聞く力では75・9%がA1、書く力では86・5%がA1、話す力では87・2%がA1との結果だった。特に書く力に関しては約6万9千人の調査対象のうち、約2万人が無回答、それを含め得点ゼロの受験者が約3万人に上った。大半の生徒の英語力はA1レベルといえるが、これを英検に換算すると3級〜5級で中学校レベルとなる。

 一方、「英語の学習は好きか」の問いに33・0%が「どちらかといえば、そう思わない」と、また25・4%が「そう思わない」と回答、英語嫌いが6割近くに上ることも分かった。しかし半面、英語力が比較的に高いB2レベルの高3生の60%近くは「英語を使って国際社会で活躍できるようになりたい」「大学で自分が専攻する学問を英語で学べるようになりたい」「海外でのホームステイや語学研修を楽しめるようになりたい」などと回答していた。さらに高2のとき、生徒同士で、英語で話し合い、あるいは意見交換したと答えた高校生は35・2%、英語でスピーチやプレゼンテーションをしたと答えた生徒は22・9%だった。

 同省では4月中には今回の詳細な調査結果を公表する予定。また27年度には新学習指導要領で学んだ生徒の調査を行い、今回の高3生(旧学習指導要領で学習)の結果と経年比較を行うことにしている。



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