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記事2015年4月13日 2237号 (1面) 
政府、地方創生特区の第1弾決定
仙北市、仙台市、愛知県の3地域
公設民営で高校専攻科開設も

 政府は3月19日、総理官邸で第13回国家戦略特別区域諮問会議(議長=安倍晋三総理)を開き、国家戦略特区の第2次指定として秋田県仙北市、宮城県仙台市、愛知県の3地域を決定した。これらは地方創生特区の第1弾となるもの。

 このうち私立学校にも関係する規制改革等を見ると、愛知県では、公設民営学校設立等による産業人材の育成・確保を、仙台市では東北大学との自動走行等の実証により新たなイノベーション喚起と地域限定保育士試験の実施による保育士不足解消を実施する。秋田県仙北市では観光地における外国人医師による診察解禁等を行う。

 公設民営学校設立はすでに大阪府で認められているが、愛知県では県立の東山工業高校と愛知工業高校を合併、県立愛知総合工科高校(一学年10学級)を県立東山工業高校の跡地に開校する。

 この高校には修業年限2年の専攻科(産業システム科20人、先端技術システム科20人、計2学級)を併置し、専攻科の運営を民間に委託する。高校本科の校長とは別に専攻科に産業界に精通する民間人校長を配置する計画で、外部の教育力を積極的に活用した教育課程の開発や人事管理など、専攻科の包括的な学校管理がより的確にできるようにする。専攻科にはデュアルシステム(3カ月程度の現場実習)を導入する。

 2人の校長を置くことなどについては今後、文部科学省と協議、法改正等が必要となる。また、専攻科から大学への編入学を可能とする。

 高校本科(修業年限3年)は県立高校。高校本科、専攻科とも平成28年4月に開校予定だが、専攻科の運営の民間への委託が遅れた場合、専攻科も当初、県立の形でスタートする可能性もある。

 「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案」は、昨年10月末、臨時国会に提出されたが、審議未了のまま廃案となった。同法は、臨時国会提出時に盛り込まれていた外国人を含む開業促進、規制改革による地方創生、民間ノウハウの活用等に加えて、新たに、都市公園内での保育所等設置の解禁(一定基準を満たす場合には都市公園の管理者は保育所等の社会福祉施設に占有許可を与える)や、地域限定保育士に係る試験実施の特例(都道府県知事が2回目の保育士試験を行わない場合、地域限定保育士制度に係る試験を政令指定都市長が実施できる)等の規制改革を盛り込み、開会中の国会に提出する予定。

 地方創生特区の第二弾について安倍総理は、年内できるだけ速やかに実現したいと語っており、石破国家戦略特別区域担当大臣は年に2回は追加の規制改革に係る提案募集を実施したいと考えている、と語っている。
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