文部科学省は３月１３日付で「理工系人材育成戦略」を策定、公表した。労働力人口が減少する中で、付加価値が高い理工系人材を戦略的に育成する取り組みで、平成３２（２０２０）年度末までに集中して進めるべき方向性と重点項目を整理している。今後は文部科学省と経済産業省が共同で、経済団体や大学等の参画を得て「理工系人材育成―産学官円卓会議」（仮称）を設置、戦略の充実・具体化を図る。同円卓会議で、理工系人材に関する情報や認識を産学官で共有し、人材育成への期待が特に大きい分野への対応等に協働して取り組む。ただし現段階では発足時期は未定。

　同戦略は、現在および今後の社会で理工系人材に期待される活躍として「新しい価値の創造及び技術革新（イノベーション」「起業、新規事業化」「産業基盤を支える技術の維持発展」「第三次産業を含む多様な業界での力量発揮」の四つを挙げ、これらの実現を念頭に置いた多角的な取り組みが必要、としている。

　戦略の方向性としては特に高等教育段階を重視。産業界の関与を得ながら、博士課程教育の抜本的な改革まで含めた、理工系プロフェッショナル養成機能の強化を図る。グローバル化の推進、地域企業との連携等も重点項目としている。高等教育のみならず、初等中等教育段階についても取り組みを講じ、子どもたちの創造性・探求心・主体性・チャレンジ精神の涵（かん）養（よう）や、学生・若手研究者のベンチャーマインドの育成等を図るとしている。

　同戦略および円卓会議は平成２５年６月の「日本再興戦略」で、大学改革に盛り込まれていた。