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記事2015年3月3日 2333号 (1面) 
私学振興協議会(懇談会)開催
自民党文部科学(文部)大臣経験者らを招き
私学団体代表ら 27年度予算等で謝意
今後の教育改革等をめぐり意見交換

 清家篤・全私学連合代表(慶應義塾長)と河村建夫・衆議院議員が共同代表を務める「私学振興協議会」の懇談会が、2月24日、東京・市ヶ谷の私学会館で開かれた。この日の懇談会は、平成27年度私学関係政府予算案等に関して私学団体代表らが国会議員に感謝する趣旨で開かれたもの。「私学振興協議会」は、自由民主党の文部科学(文部)大臣経験者、文部科学(文教)部会長経験者、現職の文部科学部会長と全私学連合を構成する私学団体代表等が同じテーブルを囲み意見交換する場。




 初めに、日本私立中学高等学校連合会の吉田晋会長が開会のあいさつを行い、「一番ありがたいのは耐震化のことで、高校以下に関しては地方交付税措置で(地方公共団体に)起債に対する措置がされることになった。これにより耐震化が進む」と語り、出席の議員に感謝の意向を伝えた。続いて清家共同代表は、補正予算と27年度予算案で私立学校の耐震化予算が計上されたことに触れ、「学生等の命には公私立で差はない。この点への格段の配慮を感謝したい」と語り、寄附税制への配慮と合わせ、出席の議員に感謝の気持ちを伝えた。

 一方、議員側の河村共同代表は、「私学が振るうことが日本の再生、地方再生に繋がっていくと確信している」と、続いて冨岡勉・文部科学部会長は、「地方の私学の経営はきつくなっている。国際的な発展を遂げるため最大限努力していく」と語った。また丹羽秀樹・文部科学副大臣(前文部科学部会長)も私学振興への決意を表明。この後、日本私立学校振興・共済事業団の河田悌一理事長の乾杯の音頭で会場は和やかな懇談の場となった。

 続いて衆議院予算委員長の大島理森・元文部大臣(衆議院議員)は、「予算委員会でも教育の問題が非常に出る。特に教育格差の固定化が一番大きな問題。文部科学部会長、文部科学(文部)大臣経験者はこのために全力を尽くして頂きたい」と語り、続いて前回の衆議院選挙を機に政界を引退した保利耕輔・元文部大臣は、「総理も私学(出身)、財務大臣も私学、予算委員長も私学。皆私学でやっているのだから、私学の予算がおかしくなることはあってはならない。また、させてはならない」とあいさつした。保利元大臣には清家共同代表から感謝の気持ちを込めて花束が贈られた。

 また、松野博一・元文部科学部会長(衆議院議員)は、党の教育再生実行本部で3月末の安倍総裁への提言をまとめる作業をプロジェクトチームごとにしていること、高等教育を受ける機会の有無で教育格差の拡大に繋がっていること、要保護、準要保護の家庭でも私学教育を享受できる設計が何よりも必要」と語った。

 また党で高大接続の問題の小委員長を務める小坂憲次・元文部科学大臣は、「(改革論議が)スピード感があり過ぎると、問題はまとまらない。文部科学(文部)大臣経験者の中でしっかり議論、PTでも議論して一歩一歩進めたい」とし、自民党教育再生実行本部長の遠藤利明・元文部科学部会長(衆議院議員)は、教育改革等は国公立をベースにしたもので、私学は建学の精神に基づき独自にやってもらった方が良い」と語り、私学の自主性・独自性、多様性が生きる制度設計の大切さを強調した。

 一方、私学側からは、日本私立大学団体連合会副会長の鎌田薫・早稲田大学総長が、学生に対する授業料減免では実績ベースで国立大学生の30%が減免措置を受けているのに、私立大学生は2%に過ぎず、研究分野でも国私間の格差が大きいと指摘、「研究発展なら国私立平等に、経済的困窮学生への補助では必要度、人に着目した体系に組み替えて」と訴えた。

 日本私立短期大学協会の関口修会長(郡山女子大学短期大学部理事長・学長)は、検討が進む実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の問題に触れ、「(このままでは)高等教育に異変が起きそうなので、大学段階で力を合わせて話さなければいけない」と語り、日本私立小学校連合会の矢崎昭盛会長(国本小学校長)は、「私学の独自性がなくなるような改革は非常に困るので慎重な対応を」と要請した。全日本私立幼稚園連合会の尾上正史副会長(紅葉幼稚園理事長・園長)は、子ども・子育て支援新制度でも幼児教育を基盤にしたことを忘れないよう議員立法による「幼児教育振興法」制定に対する力添えに感謝の気持ちを明らかにした。

 最後に大沼淳・日本私立大学団体連合会副会長(文化学園大学理事長・学長)が中締めのあいさつを行った。



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