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記事2015年3月23日 2235号 (2面) 
平成27年度事業計画を決定
国庫補助、交付税措置拡充軸に
私立中学生への公的支援実現を目指す
日本私立中学高等学校連合会

 日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高校理事長・校長)は3月17日、東京・市ヶ谷の私学会館で理事会・評議員会合同会議を開き、平成27年度事業計画等を決定した。

 同連合会の平成27年度事業計画は、前年度に引き続き、文部科学省の「私立高等学校等経常費助成費等補助金」の拡充を図ることと、公立校で平成27年度末に施設の耐震化が完了することから、私立学校が施設の耐震化を図る際の環境を良くしていく活動を柱にしている。

 高校就学支援金については実施から5年近くが経過するものの、ベースとなる金額が公私同じということから公私間格差是正については、道半ばの状況のため、私立高校生に対するベースとなる金額の引き上げ、低所得者層に対する割り増しを要望していく。国の私学助成の肉付けとなり、各都道府県の私学助成に極めて重要な地方交付税による財源措置への対策については引き続き拡充を関係方面に要望していく。各都道府県の私学助成対策に関しては、各都道府県私学協会が都道府県当局に要望していくに当たり、各私学協会に対する情報提供や国に対する支援策の拡充要請などを通じて支援を行っていく。年に3回、協会長・事務局長会議を開き、行政当局による説明を含め積極的に情報提供を実施していく。私立学校関係税制に関しては、幼稚園から大学までの私学団体で組織する全私学連合の中で要望の実現を図る。また、平成27年度は、私立中学生に対する公的支援の実現を目指して本格的に活動を開始する。

 私立中学生は全国で25万人を数えるが、学びに対する支援はないことから、同連合会では「私立中学校生徒への公的支援制度の創設について」と題する見解をまとめ、実現に向け関係方面に働きかけを強めていく。わが国は、現在、「家庭の経済的状況や発達の状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子供・若者、社会人が質の高い教育を受けることができる社会の実現」を目指しており、高校就学支援金を皮切りに、幼児教育の無償化、大学生への奨学金制度の拡充、専門学校生への学費軽減支援等が次々と具体化されている。そんな中にあって私立中学生については公的支援が手つかずの状況。公立中学校に進学する生徒が、それを辞退して就学指定校ではない国立大学附属中学校や公立中高一貫校に進学した場合でも、その生徒は、政策的判断に基づき制定された法律で授業料は無償とされる。しかし同様に公立中学校を辞退して私立中学校に進学した児童生徒については権利を放棄したとして、そうした扱いは一切行われないことから、国に積極的な政策判断による就学支援措置の実現を求めるもの。文部科学省の調査によると、私立中学生の14%の家庭の年間所得は599万円以下。599万円以下の所得の家庭については高校就学支援金ではベースとなる額の1・5倍を支給される、より支援の必要な水準。そのほか、調査研究事業、広報事業等を実施する。広報事業では文部科学省の記者クラブとの懇談を年に複数回実施するなどを計画している。



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