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記事2015年3月23日 2335号 (1面) 
英語の資格・検定試験活用促進で行動方針
学校に会場施設提供等を要請 基礎レベルの検定、官民で開発も
文科省協議会

 文部科学省の「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」(多田幸雄座長=(株)双日総合研究所代表取締役社長)は3月17日、同省内で2回目の会合を開き、英語の資格・検定試験の活用促進に関する行動指針案を審議、決定した。行動指針案は同協議会作業部会で検討・作成したもの。

 グローバル化が進展する中で中学から大学までで英語の聞く・話す・読む・書く―の4技能を評価する資格・検定試験の活用を奨励することを基本に、学校関係者に対して4技能をバランスよく伸ばすため4技能を測定する資格・検定試験の活用を図ること、資格試験等を活用する際には具体的な活用方法(例えば入学者選抜で当該資格・検定試験の結果を用いる場合の出願要件、得点の換算の方法等)を明確にすること、生徒学生が受験しやすいよう学校施設等の提供を要請。試験団体関係者には、各学校が各資格・検定試験の妥当性・信頼性等を検討するに当たり必要な情報(各試験等の目的、出題意図、難易度、問題の作成過程、実施方法、試験結果の評価規準、世界的な参照基準との関係性等)の明示に努めること、各学校等が試験を行うに当たり受験しやすさ(経済的状況に配慮した受験料、地域バランスの配慮した実施体制、受験回数等)に可能な限り配慮することなどを要請している。

 行動指針案に関して委員からは「英語の4技能でクリティカル・シンキングが育成できるのか検証が必要」等の意見が出された。行動指針は今後、学校等に周知する。

 また昨年12月22日の中央教育審議会答申の中で検討が必要とされた大学入学希望者学力評価テストで独自の問題作成を行うか、民間の資格・検定試験に全面的に委ねるべきか等については作業部会で検証した結果と、公立高校生対象に新たに実施した英語力調査の結果速報(近く公表予定)が報告された。調査では「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ共通参照枠」(CEFR)に照らし合わせると、読む、聞く力は基礎段階のAI上位からA2下位レベルに集中、書く力は約3割の生徒が白紙回答、話す力も得点者が全体の約85%に留まるなど、極めて厳しい状況で、こうした状況のため民間の検定試験等の活用とは別に、A1〜A2レベルの検定試験を官民で開発する必要性があることが指摘された。

 作業部会のこうした検証結果に出席の委員からは「検定がゴールになってしまいかねない」「検定試験間の得点換算は難しい。コストを下げるには学校の協力が必要」「学校が会場となり検定試験を実施するとなると教員の負担が増える」「先生に対する教育が必要」といったさまざまな意見が出されたが、作業部会の検証結果を連絡協議会のまとめとすること、同省で大学入学希望者学力評価テスト等の制度設計を進めている高大接続システム改革会議に報告することが了承された。連絡協議会では、今後、英語の資格・検定試験間の換算方法等の検証等、「大学入学希望者学力評価テスト/高等学校基礎学力テスト」の検討との連携、大学及び高校入学者選抜における学力検査等の在り方の改善(学習指導要領に沿った英語の4技能を総合的に評価する学力検査等を奨励するため、現状の学力検査等における英語問題の在り方を調査分析し、得られた結果を大学、高校等に情報発信)を実施する。これらは29年度末までに検討する。



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