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記事2015年3月13日 2334号 (1面) 
高等学校基礎学力テスト/大学入学希望者学力評価テスト  2つの新テストの制度設計等を検討
高大接続システム改革会議が初会合 文科省
座長に安西祐一郎氏就任
夏頃に中間まとめ、年内に報告

 昨年12月22日の中央教育審議会答申を受けて平成31年度から実施する「高等学校基礎学力テスト」や、翌32年度から実施する「大学入学希望者学力評価テスト」(いずれも仮称)の具体的な在り方等を検討する、文部科学省の高大接続システム改革会議の初会合が3月5日、同省内で開かれた。会議では、前中央教育審議会長の安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長・文部科学省顧問が座長に、片峰茂・長崎大学長が副座長に就任、また同省から今後の検討課題や検討体制、検討スケジュール等の説明が行われ、さらにこれら新テストの具体的な制度設計や実施方法、導入に際して必要な事項を専門的に検討する新テストワーキンググループの設置も決めた。同改革会議は今年夏頃までに中間的なまとめを公表、年内に最終報告をまとめる予定。




 同改革会議委員は27人。山極壽一・京都大学長や濱口道成・名古屋大学総長、佐藤東洋士・桜美林大学総長、日比谷潤子・国際基督教大学長など大学関係者が全体の7割弱を占め、残りが長塚篤夫・順天中学・高校長など学校関係者、PTA連合会長、教育委員会関係者、企業関係者等。

 先の第7期中教審から検討の続く高大接続改革は、高校教育改革、大学教育改革、それを繋ぐ大学入学者選抜改革を一体的に実施するのが特徴。

 そのため同改革会議では、高校教育改革に関して、課題の発見と解決に向けた生徒の主体的・協働的な学びの推進や多様な学習活動・学習成果の評価、高等学校基礎学力テストの導入などを論点としており、大学教育改革に関しては、大学教育の質的転換とその支援の在り方(学長を補佐する体制の充実、アクティブラーニングの導入等)、アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーの一体的な策定の義務付け等を通じた大学教育の質の向上などを論点としている。大学の個別選抜についても、「多面的・総合的な評価」として求められる選抜の在り方、個別選抜の試験問題の改善(より深い思考力・判断力・表現力等を問う問題への転換等)の促進方策、アドミッション・オフィスの整備・強化の在り方、個別選抜の改革を行う大学への財政措置等の在り方を検討する予定だ。

 一方、二つの新テストに関しては、「高等学校基礎学力テスト」の対象教科・科目、出題範囲設定の在り方、難易度の設定の在り方、CBT導入の在り方、テストの実施回数等の在り方、試験実施方法(実施場所・回数、時期等)・実施体制、成績表示等の在り方、高校卒業程度認定試験との関係整理などが論点。

 「大学入学希望者学力評価テスト」に関しても、対象教科・科目、作問等の在り方、CBT方式導入の在り方、テストの実施回数・時期等の設計の在り方、成績表示等の在り方が検討課題。

 今後、多様な学習成果や活動を反映するための調査書や指導要録等の在り方については、評価検討ワーキンググループを設け検討を進める予定。

 このように同改革会議の検討課題は多岐にわたるが、3月5日の初会合では、出席した委員がそれぞれ問題意識等を述べた。委員からは、大学が今後機能を拡大して社会人の学び直し、生涯学び続ける場となることを求められている中で、社会人の入学者選抜の在り方を検討する必要性を指摘する意見や、新テストの導入等では子供たちが慌てないよう手順を踏んだ実施を求める意見、改革のスピード感を問題視する意見などが聞かれたが、安西座長は高大接続改革論議は平成11年に始まっていることを指摘、工程表に従った論議の重要性を強調した。



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