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記事2015年2月23日 2232号 (1面) 
個人等の潜在力を最大限発揮
産業競争力強化実行計画等閣議決定
未来社会見据えた変革も不可欠
特定研究大学制度など創設




 政府は2月10日、第16回日本経済再生本部(本部長=安倍晋三総理)を開き、「平成26年度産業競争力強化のための重点施策等に関する報告書」と「産業競争力の強化に関する実行計画(2015年版)」を了承、引き続いて行われた閣議で決定した。




 このうち「平成26年度報告書」は産業競争力強化法に基づき、成長戦略に掲げられた施策の進捗状況を記載、国会に提出

するもの。「実行計画(20

15年版)」は「日本再興

戦略」、「日本再興戦略改訂

2014」に掲げられた施策のうち当面3年間で実施する規制・制度改革を中心にまとめたもの。実施期限や担当大臣名が記載されており、担当大

臣は実施する責務を負う。

 また同本部では「成長戦略進化のための今後の検討方針」が報告された。これは平成27年年央の成長戦略改訂に向けて今後の検討事項をまとめたもので、ここに記載された課題の具体化が各省庁で進むことになる。

 平成26年度報告書の内、教育関係では平成26年の通常国会で学校教育法、国立大学法人法を改正し、学長のリーダーシップの下で戦略的に大学を運営できる体制を整備したことや、グローバル化等に対応する人材力の強化として、国際バカロレア認定校を増やしたことや、スーパーグローバル大学37校の選定、スーパーコンピュータ「京」の産業利用枠を拡大し、製薬会社等の創薬支援を行ったなどが記載されている。

 また、「実行計画(2015年版)」のうち文部科学省関係では、国立大学改革として、平成27年度末までに、運営交付金の戦略的・重点的配分の拡大(各大学の改革の取り組みへの配分およびその影響を受ける額を3〜4割にする)ことや、一部日本語による国際バカロレア教育プログラム(日本語DP)を、一部の認定校において平成27年度から開始すること、医療・介護等を一体的に提供する非営利ホールディング型法人制度(仮称)の創設を厚生労働大臣とともに行うこと。その制度を活用した他病院との一体的経営実現のために大学附属病院を大学から別法人化できるよう、必要な制度設計について平成26年度中に検討・結論を得て、平成27年度中に制度上の措置を目指すことなどが盛り込まれている。

 さらに「成長戦略進化のための今後の検討方針」については1月29日の産業競争力会議で決めったものだが、企業や個人のレベルで持てる潜在力を最大限発揮し、日本経済全体で稼ぐ力の底上げを行っていくことが必要とし、同時に日本経済が競争力を保つため、未来社会を見据えた変革も不可欠としている。このうち未来社会を見据えた変革のち教育関係ではイノベーション・ナショナルシステムの実現(大学改革等)では、国立大学について、地域活性化や特定分野の強化に向けて重点支援を行う大学、世界最高水準の教育研究の実現に向けて重点支援を行う大学など、予算上の枠組みを設け、その枠組みごとの客観的な評価指標を基に透明性のある評価を実施する。その上で、その結果を国立大学法人運営費交付金の配分に反映させる仕組みを検討する。イノベーションの鍵となる優秀な人材の育成や研究者・学生の交流・共同研究のハブとなる卓越大学院制度、研究職を若手にとって魅力あるキャリアパスにする卓越研究員制度、世界トップレベルの研究大学を目指す特定研究大学制度の創設を検討する。

 また地域イノベーションの推進に関しては、大学・大企業との連携等により、地域・中小企業等の戦略的な知的財産活用・標準化のための支援体制の強化を推進する。





実践的職業教育を行う


新高等教育機関制度化


放送大学でオンライン授業科目など開設





 こうした産業競争力強化に向けた審議の主舞台となっている政府の産業力競争会議ではさまざまなワーキンググループでの審議が続けられているが、2月17日に開かれた第4回雇用・人材・教育WGは教育・人材改革と雇用制度改革の一体的推進をテーマに行われた。


 その席で文部科学省の教育再生による経済成長に関する方針が示されており、付加価値の高い人材、わが国のイノベーション創出やグローバル化を担う人材の育成のため、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化、各学校種における職業教育の充実(産学官の連携強化など)、体系的なキャリア教育の推進、学び直しの充実、小・中・高校における英語教育の強化、海外トップクラスの大学との連携、大学の国際化促進、日本人の海外留学の促進と、外国人留学生の戦略的受け入れ、理工系人材の育成等を行うとしている。このうち社会人の学び直しに関しては、人材ニーズに対応する教育プログラムの充実(産業界と連携したオーダーメード型プログラムの開発・実施等)、学びやすい環境の整備(大学における社会人受け入れの推進等)、経済的支援の充実(教育訓練給付金制度(厚労省)との連携等)を進めていく。また、e―ラーニングを活用した教育プログラムの提供を放送大学におけるオンライン授業科目等の開設等により推進する。


 また実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関しては、基本的な制度の在り方を本年3月までに取りまとめ、その後、中央教育審議会で設置基準等の審議をする予定としている。新高等教育機関については、「学士」や「短期大学士」相当の学位を授与、第三者評価については産業界関係者の協力を得ながら教育の質を確保できるシステムの構築、国による設置認可(大学や短期大学とは別の設置基準を設定)、公的助成については設置基準にふさわしい助成水準の検討、追加的財政需要に見合った財源の確保が必要としている。


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