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記事2015年12月3日 2359号 (1面) 
平成28年度私学関係概算要求満額実現を
私学振興全国大会を開催
中高連等3団体 自民党文教関係議員に要請
私立中生徒への公的支援制度創設も

 日本私立中学高等学校連合会(吉田晋会長=富士見丘中学高等学校理事長・校長)、日本私立小学校連合会(矢崎昭盛会長=国本小学校長)、日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会(中村良彦会長)の3団体は12月1日、東京・千代田区の東京都日比谷公会堂で「平成27年度私学振興全国大会」を開催した。同大会には全国から私立小・中・高校の保護者や校長ら約2千人が出席、与党・自由民主党の文教関係国会議員に私学関係概算要求の満額実現等を要請した。




 中高連の新田光之助副会長の開会の辞に続いて、主催者を代表して挨拶した吉田中高連会長は、40年前、当時の私立中学高校の先達の思いを受け止め自由民主党が議員立法で私立学校振興助成法を制定、今日に至っていることに改めて感謝、その上で「良い教育をするには良き教員、人が必要で、ICT等を実践するにも物、その基本は資金で、その部分を充実させて頂かなければこれからの教育は変わっていかないのではないか」と訴え、当面する平成28年度私学助成関係概算要求の満額達成に向けた支援と、全国の私立小・中学校に学ぶ33万人の子供たちの学びに対する公的支援制度の創設への理解と検討を要請した。

 続いて中村・日私学保連会長は、戦前には無かったとされる国公立学校と私立学校の教育費の格差は、戦後のインフレやオイルショック等で拡大、現在に至るまで格差が残っていること、安倍総理の提唱する一億総活躍社会の実現には、私学助成、教育に先行投資することが一番の優先順位だなどを訴え、私立学校への一層の支援を要望した。

 文部科学省を代表して堂故茂・大臣政務官(参議院議員)があいさつ、「一億総活躍社会の実現のためには教育の役割がこれまで以上に強く求められていく。学校教育の大部分を担い個性豊かな教育を行っている私立学校の役割は極めて重要だと考えている。私立学校振興助成制定40周年を迎える今こそ本法の目的に立ち返り、教育条件の維持向上、児童生徒の経済的負担の軽減、私学の経営の健全性を高めるために私学助成を始め基盤的経費を安定的に確保することが必要だと考えている」と語った。

 また自由民主党を代表して塩谷立・政務調査会長代行(衆議院議員)が挨拶し、「経常費補助や、まだ国公立と私立との間で格差のある施設の耐震化、ICT化に向かった設備投資、私立中学生への支援の創設といった皆さんの要望を受け止め改めて頑張ってまいりたい。私立学校が地域に根差して子供たちが生き生き伸び伸びと暮らしてこれから日本の社会を支えていく、といった成長を願いながら共に頑張ってまいりたい」と語った。

 冨岡勉・文部科学副大臣(衆議院議員)は、「時代を超えて国を興すのは人であり、人材。私学の皆さんのみならず、国民を挙げて教育に取り組んでまいりたい」と改めて危機に立つ教育の振興の重要性を力説した。

 渡海紀三朗・自民党教育再生実行本部長(衆議院議員)は、施設整備予算や経常費補助をめぐる厳しい情勢を紹介した上で、私学関係者の要望実現のため頑張る考えを表明し、同時に人口が減る中では一人一人の人間の能力を高めていくことが日本の未来を切り拓く重要な視点であることについて国民の理解を得られるよう議論を展開していく考えを明らかにした。

 この後、日本私立中学高等学校連合会の近藤彰郎副会長が、特に経常費補助と私立学校の独自性・自主性について要請を行った。

 その中では、「経常費補助はこの40年間の中で私立学校の運営の基礎になっている。ここが壊れると父母負担にも影響があるし、良い教育が保てない。経常費補助については今まで同様、是が非でも満額で回答を願いたい。また教育には創意工夫が必要で、私学はさまざまな実績を上げてきている。それは創意工夫を最低限認めてくれるからできることで、私立学校は時代の要請を取り入れて独自の変化を遂げていけると考えている。それはすべて好き勝手にするということではない」と語り、私立学校の独自性・自主性を守ってほしいと訴えた。

 この後、田口優美子・大阪私立中学校高等学校保護者会連合会副会長が、私立学校保護者の学費負担のさらなる軽減、子供たちの教育環境の一層の改善のため関連政府予算の充実等を求めた「保護者の願い」を読み上げ、堂故大臣政務官に手渡し、その実現を要請した。

 続いて、私立学校振興助成法の目的に基づき、私立学校の経営の健全化、保護者負担の軽減及び教育諸条件・施設設備の整備のための所要の補助金等や、私立学校施設の耐震化を早期に完了するための所要の補助金等の、それぞれ大幅な拡充など5項目を柱とする決議案を門傳英慈・日私学保連副会長が提案。満場一致で採択され、その場で菅原一秀・自民党ネットメディア局長(衆議院議員)に手渡された。決議を受けて菅原議員は私学関係予算拡充へ努力を約束した。

 最後に日私小連の矢崎会長の閉会の辞で大会を締め括った。大会には代理を含め26人の国会議員が出席した。
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